本田圭佑と日本代表のために、CSKA残留もひとつの選択肢 (2ページ目)

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by GettyImages

 ミランの提示額との差は、100万ユーロとも200万ユーロとも言われているが、普通に見れば世界有数のビッグクラブが払えない額とは思えない。とはいえ、今月1日にはミランのオーナーで、イタリアの元首相であるシルビオ・ベルルスコーニ氏の脱税容疑に有罪判決が出たため、クラブの財政事情が厳しい状況にあることは確かだ。それは、ミランの今夏の補強状況を見ても容易に察することができる。

 ミラン側としては、すでに本田サイドとの契約条件については合意をしているうえ、来年1月になれば違約金を支払わずして獲得できるのだから、無理にCSKAの要求額に従う必要はないと考えるのはごく自然のことだ。

 逆にCSKA側は、チャンピオンズリーグのグループステージ突破のために本田を12月いっぱいまで主力としてプレイさせ続け、決勝トーナメント出場を達成することで得られる賞金によって本田の違約金は帳消しにできると考えても何ら不思議ではない。

 両クラブ間の交渉が平行線を辿っている理由としては、そんな背景も考えられる。
 
 そこで問題となるのは、本田自身の今後である。

 まず、本田サイドが今夏での移籍にこだわっている理由は、新シーズンを迎える前にチームの一員として加わっておきたいという希望があるからだ。また、本田がCSKAで9月から始まるチャンピオンズリーグ・グループステージの試合に出場すると、仮にミランが本戦に進出((PSVとのプレイオフ第1戦はアウェーでドロー)し、グループステージを突破したとしても、来年2月以降の決勝トーナメントのメンバーに登録できないという事情もある。

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