内田篤人の覚悟「絶対にチャンピオンズリーグ本戦へ」 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • 木場健蔵●写真 photo by Koba Kenzo

 その後、終盤には何とか持ち直して4位でフィニッシュ。数年前のラウルやノイヤーがいた時代に比べるとスター選手が不在の中で、健闘したとも言える。とはいえ,それがケラーの監督としての手腕が発揮された結果かというと、疑問符がつく。勝ち出したタイミングは、エース、フンテラールが復調した時期と符合する。ステフェンス時代のメンバーと戦い方を踏襲したにすぎないという印象が強い。ちなみに就任直後のサポーターの指揮官への不信感は、最近の監督の中で最も強かったように思う。
 
 今季に入って、ケラー監督は独自色を出そうとトライしている最中だ。簡単にいうと、シンプルな速攻を多用するサッカーからポゼッション重視のサッカーへの移行だ。4-2-3-1のシステムは基本的に変わらないが、両サイドバックはその攻撃性を生かして高い位置を取る。ボランチは一枚が最終ラインに入ってボールを回し、そこから攻撃をスタートさせる。

 これによって確かに攻撃の厚みは増したが、スペースをスピードを持って駆け上がりたい内田にとっては 「人が多くて詰まっている」状況になるのだと言う。

 また、ダブルボランチはフィジカルで勝負するタイプだ。今季はジョーンズを軸に、開幕戦はノイシュテッター、第2節はヘーガーと組んでいる。だが、いかんせん彼らはゲームをコントロールするタイプのボランチではないところに、指揮官の目指すものとのギャップが生まれている。

 昨季以来の失点の多さ、特にセットプレイの弱さも解消されないまま。相手次第でそのうち勝利を収めるにしても、これがシャルケだという自信を持てるスタイルがないのが現状だ。

 もっとも、内田本人は好調を維持している。

「1戦目よりも2戦目のほうが良くなったし、調子がいいのを実感できている。具体的にいうと、よく走れているし、ロングボールが蹴れている。ロングボールが蹴れているというのは、フォームができているということもあるし、視野が確保できているということでもある。奥が見えてるかどうかというのは、自分の調子のバロメーターだから」

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