マンU開幕戦でモイーズ流は見えず。香川真司の起用法は? (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Getty Images

 だがふたをあけてみれば、開幕戦ではスウォンジーを相手に4-1の勝利を収めた。スウォンジーは格下とはいえ、今季ヨーロッパリーグに出場するチームである。オランダのフィテッセから昨季オランダリーグ得点王のボニーを獲得するなど、新陳代謝も怠らなかった。悪くはないチーム相手の勝利だ。

 戦いぶりは、良くも悪くもマンUらしいものだった。布陣は昨年トライし続けた4-2-3-1ではなく、4-4-2を採用。一昨季までメインのスタイルであり、選手たちに戸惑いはなさそうだった。メンバーを見ても大きな変更点はない。

 試合は序盤から、スウォンジーに押しこまれる時間帯が続いた。最終ラインが固いため最後の最後で跳ね返すのだが、人数をかけた攻撃に手を焼いた。スウォンジーは、おさまりの良い2トップと、ドリブルにスピードを持つ両サイドの中盤が加わり、分厚い攻撃を仕掛けた。

 いつ失点してもおかしくないような展開の中で、マンUは34分、ギグスのドリブルからファン・ペルシーがあり得ない体勢からのボレーシュートを決めて先制。2分後にはウェルベックが起点となり左を上がったエブラに展開。そのクロスをファン・ペルシーが競り、右サイドのバレンシアからの折り返しをウェルベックが決める。パターンの違う攻撃で2トップがあっという間に点をとったことで試合の流れはほぼ決した。後半に入ってもその2トップが2得点を加え、スウォンジーは途中出場した注目のボニーがこぼれ球を丁寧に押し込んで1点を返したが、そこまでだった。

 試合後、モイーズ監督は記者会見に登場した(ちなみにファーガソン前監督は、基本的にリーグ戦後の記者会見には姿を見せなかった。それは昨季のホームラストゲームでも変わらなかった)。指揮官が交代したことを意識させられた瞬間だった。

「勝てたことは嬉しいが、多くの試合の1試合に過ぎない。スウォンジーはとても強かった」などと当たり障りのないやり取りがあった後には、記者からルーニーに関する質問が飛んだ。「ルーニーはチームのために良い仕事をした」と、あっさり答えるモイーズ監督。途中出場ながら2アシストの活躍を見せたエースへの関心は、移籍市場が閉まるまで収まることはないだろう。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る