プレミアリーグ開幕。今年の主役は「レッド」から「ブルー」へ?

  • 鈴木英寿●文 text by Suzuki Hidetoshi
  • photo by AFLO

『デイリーテレグラフ』紙の名物記者、ヘンリー・ウィンターは今季のリーグプレビューをこう書き始めている。

「『ブルー』が今季のカラーとなり得るだろう。チェルシー、もしくはマンチェスター・シティのチームカラー(ブルー)という意味である。仮にウェイン・ルーニーがマンチェスター・ユナイテッドから離れられなかったとしても、チェルシーはプレミアリーグ優勝を達成する上で十分な準備ができている」

 ウィンター記者がチェルシーを優勝候補に推す理由は、実に明快だ。昨季と比較しても、今季のチェルシーには充実したスカッド(選手団)が揃っているからである。

 まず、GKには守護神ペトル・チェフ(チェコ代表)のバックアップとして、フルハムからベテランのマーク・シュワルツァー(オーストラリア代表)を獲得。さらにMFエデン・アザール(ベルギー代表)は、加入初年度の昨季よりプレミアの水に慣れたと言ってよい。背番号10のフアン・マタ(スペイン代表)とともに、さらなる活躍を見せてくれるだろう。またFWでは、ウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン(WBA)にレンタルしていた193センチの巨漢ロメル・ルカク(ベルギー代表)が復帰。長年チェルシーのコーチを務めていたWBAのスティーブ・クラーク監督のもと、天性のゴールセンスをついに開花させたことで、フェルナンド・トーレス(スペイン代表)、デンバ・バ(セネガル代表)らと激しいポジション争いを繰り広げるに違いない。

 ここ数年、リーグタイトル争いにおいてマンチェスターの2クラブの後塵を拝してきたものの、一昨季にはチャンピオンズリーグ、そして昨季はヨーロッパリーグを制しており、決して劣らぬ勝負強さを誇るスカッドである。この秀でたスカッドを復帰したジョゼ・モウリーニョ監督が率いるのだから、地元メディアの期待値が自然と高まるのも無理はない。第一次モウリーニョ政権下の主力だったフランク・ランパード(イングランド代表)、ジョン・テリー(元イングランド代表)、アシュリー・コール(イングランド代表)らが健在であることも、新指揮官のチーム掌握にとってはプラスに働くと見られている。

 一方、もうひとつの「ブルー」、マンチェスター・シティはどうだろう。

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