香川真司がトップ下で披露した「プレミア1年目との違い」 (2ページ目)

  • 鈴木英寿●文 text by Suzuki Hidetoshi
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 本人は試合後、こう語っている。

「このチームはサイドから突破できる選手が多いので、それを生かせばチャンスにつながる」

 加入初年度の昨季、トップ下でプレイする試合はあったものの、イングランドの水に完全に馴染むまでには至らず、周囲とのコンビネーションがしっかりと確立されないまま、プレミアリーグ1年目を終えた。そんな印象が強い。今回、対戦相手はプレミアリーグのチームではないものの、マリノスはサポーターの声援を受け、本気モードで戦ってきた。つまり、プレシーズンとしては最高のプレイ環境をマリノス側は整えてくれたのだ。プレッシャーも本番さながらの、決して容易ではないレベルの相手との対戦。香川は、試合途中から1トップに入ったダニー・ウェルベック、同じく途中出場で左ウイングに配置されたアシュリー・ヤング、そして今季より新加入したザハという3人の現役イングランド代表とともに、マリノスのゴール前へと迫っていった。

 プレイ時間は30分強。だが、今後への期待がふくらむ見どころはいくつかあった。そのひとつが、ザハやヤングとのコンビネーションである。

 たしかに香川自身が指摘するように、ユナイテッドにはサイドでの突破力に長けた選手が多い。ウイングタイプの選手で言えば、ヤング、アントニオ・バレンシア、ナニといった面々であり、ベテランのライアン・ギグスも短時間であれば、その突破力はいまだ健在である。だが、昨季のユナイテッドにおけるウイング陣は、香川の要求するスペースに、効果的なタイミングでほとんどパスを供給できていなかった。

 ところが、マリノス戦で言えば、右ウイングのザハ、そして左ウイングのヤングが、香川を効果的に『使う』プレイを見せていた。特にザハは、その切れ味鋭いドリブルでウイングらしいプレイを披露するとともに、華麗なターンや絶妙なスルーパスといったプレイで香川を生かしていた。一方のヤングも、香川と息のあったコンビネーションでチャンスを演出している。

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