元セリエA得点王、ジュゼッペ・シニョーリが狙うのはJリーグ監督の座

  • 宮崎隆司●取材・文 text by Miyazaki Takashi photo by Miyazaki Takashi

『欧州サッカー・あの人は今』
ジュゼッペ・シニョーリ Giuseppe Signori
1968年2月17日イタリア生まれ
ラツィオ、ボローニャなどで活躍し、セリエA得点王に3度(92-93、93-94、95-96)輝いたストライカー。イタリア代表として94年W杯アメリカ大会に出場。2006年に引退

セリエAでゴールを決め続けたジュゼッペ・シニョーリ。ローマの自宅での1枚セリエAでゴールを決め続けたジュゼッペ・シニョーリ。ローマの自宅での1枚 世の中のあらゆる場面で、もちろんスポーツ界でも、いつの時代にも懐古趣味は色濃く存在する。今季優勝したユベントスの試合を観戦したとき、決定機を決めきれないFWの姿を見て、とりわけ過去に思いを馳せる気持ちが強くなった。

 今シーズン、ユベントスは見事連覇を果たしたわけだが、決めるべき場面で決めきれないユーベ攻撃陣を観ながら、思い出されたのが「あのFW」だった。それは、ジュゼッペ・シニョーリ。

 170cmという小柄な、というよりは華奢ともいうべき身体ながら、その得点力とそれを可能にする嗅覚はまさに動物的。速さも鋭さも気迫も文字どおり稀有(けう)な存在だった。

 今日の欧州サッカー界を見渡し、居並ぶ第一線級の選手たちと比較しても遜色はない。むしろ、あのゴールに向かう執念に比肩し得るFWの数はきっと一桁に留まるのではないか。

 チャンピオンズリーグ(CL)などのビッグタイトルとは無縁だったが、純粋にFWとしての力量だけで見れば、個人的な見解に過ぎないが、世界のサッカー史上でベスト10に入るであろう。左足の振りの速さはおよそ超人的だった。

 そう断言できるのには根拠がある。

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