コンフェデ準決勝。王者スペインを苦しめた「ユベントス・イタリア」 (2ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi photo by Getty Images

 それを考えれば、イタリアのパフォーマンスが良かったことに焦点を当てると同時に、この日のスペインの低調ぶりは、このような悪条件下でのものだった点も付け加えておく必要があるだろう。

 ただ、いずれにしても、試合が予想外にイタリアペースで進んだことは間違いない。その要因のひとつが、プランデッリ監督が採用した3-4-2-1というシステム変更だった。

 故障のFWバロテッリが帰国したことも含め、グループリーグ3試合で大量8失点を喫していたイタリアが、準決勝に臨むにあたって何らかの戦術変更を施すことは予想されていたが、結果的にユベントスの選手をメインにメンバーを編成し、その戦い方を踏襲させた指揮官の選択は正解だった。

 GKブッフォン、最終ラインのバルツァッリ、ボヌッチ、キエッリーニ。ダブルボランチの左を務めたピルロ。この日スペインを散々苦しめた左サイドMFのジャッケリーニと、その1列前の左アタッカーのマルキージオ、さらに後半から交代で入ったジョビンコも含めると7人がユベントス所属だ。

 スペインがスタメン6選手をバルセロナの選手(シャビ、イニエスタ、ジョルディ・アルバ、ブスケツ、ピケ、ペドロ)で編成していただけに、ある意味、試合は「バルセロナ対ユベントス」とも言えた。

 イタリアにとって悔やまれるのは、完全にスペインを圧倒していた前半に1ゴールも奪えなかったことだろう。17分のマッジョ、19分のデ・ロッシ、そして36分のマッジョと、いずれのヘディングシュートもネットを揺らすには至らず。結局、これらの惜しいシュートが外れた結果、PK戦にまでもつれ込んでしまったのである。

 試合後、プランデッリ監督は「我々は最初から最後まで勝利につなげるための多くのチャンスを作ることができていた」と振り返ったが、それだけに、去年のユーロ決勝で敗れた(0-4)リベンジを果たしたかったに違いない。

 一方、勝者スペインの指揮官、デル・ボスケ監督は至って冷静だった。

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