一触即発!?「闘犬」ガットゥーゾが「闘将」としてセリエに復帰

  • 宮崎隆司●取材・文 text by Miyazaki Takashi photo by Getty Images

「なんつったってW杯の決勝だからな、いやもうあんなに緊張しまくったのはマジで生まれて初めてだったんだが、そのせいで上半身も下半身も、身体のいろいろな場所が興奮しちまってどうしようもなくて。でもってなぜか局部もメチャメチャ腫れちまってな(笑)。で、どうしても眠れないもんだから夜中に(宿舎の)厨房に行って、冷蔵庫から氷をごっそり持ってきてずっと冷やしていたんだ。だが結局のところ一睡もできなくて、それどころか夜中に30回もトイレに行くはめになっちまった。でもって今夜のこの激戦だ。もうマジで疲れちまって死にそうだよ……。でもまぁ、それでも世界一になれたんだからどうってことないんだけどな。腫れも引いてくれたし(笑)」(筆者注:一部かなり穏当な表現にして翻訳しています)

 これがガットゥーゾという男であって、そんなモロに泥臭い選手が希少になったのが今日のサッカー界だとすれば、やはりこの闘犬の、監督としてのイタリア復帰は来季の最高の楽しみといえる。

 現在セリエBのパレルモをA昇格に導いて咆哮するリンギオの姿が、今から目に浮かぶ。

 そして、もしも2014年のW杯後にそのガットゥーゾが日本代表を、またはJリーグのクラブを率いたら、「ガキの頃からオレは鬼ごっこの天才でね。誰ひとりオレの“マーク”から逃げ切れるやつはいなかった」という彼は、必ずやMF陣とDFに、そしてFWにも“プレス”はもちろん“削り方”と“タマ際の強さ”の極意を叩き込んでくれるはずだ。

 闘犬ならぬ闘将、“リンギオ・ジャパン”の夢、というよりは今は単なる幻想に過ぎない未来への希望を抱きながら、まずは監督としての本格的な始動となるパレルモでの采配に乞うご期待。

 理論派でないことだけは確かだが、とはいえ、その「男気」と「統率力」において彼が唯一無二の才能を持っていることもまた明白なのだから。

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