一触即発!?「闘犬」ガットゥーゾが「闘将」としてセリエに復帰 (2ページ目)

  • 宮崎隆司●取材・文 text by Miyazaki Takashi photo by Getty Images

 戦術云々の純粋なサッカー論もそれはそれで実に興味深いのだが、サッカーとはそれだけではない。しかもドタバタ劇こそを「十八番」とするイタリアとなれば、この猛烈に熱いガットゥーゾ的なキャラを欠くわけにはいかない。なおかつ、パレルモはあの"マフィア"で知られるシチリア島の街。何かが起こりそうな予感に満ち満ちている。

 そして、監督といえば、先のコンフェデでの「日本VSイタリア」を経て、なぜか日本ではザック解任論が盛んに語られている。その是非はともかく(私はそれに断固反対の立場だが)昨今の解任論に決定的に欠けているのが"代案"の提示だとすれば、この闘犬(リンギオ)から闘将へと変貌を遂げるであろうガットゥーゾも候補となるのではないか。もっとも、その理由は単に"面白そうだから"という極めて無責任な考え方でしかないが......。

 それでも、あのむさ苦しいまでに熱い男がスマートな現日本代表を率いるとすれば、なかば当然のごとく意見の相違(サッカー観の違い)が際立つであろう。だとしても、そうした「監督VS選手」の"衝突"から派生する相乗効果は実に有益にして興味深いのではないだろうか。

 もちろん、ガットゥーゾはパレルモの監督となったのだから、その解任に"期待する"ことが大前提になるのだが。
 
 そのガットゥーゾのキャラを象徴する最高のエピソードは、やはりあの奇跡の2006年W杯ドイツ大会でイタリアが優勝を成し得た直後の"事件(いわゆる放送事故)"だろう。

 ガットゥーゾはロッカールームで祝杯のビールをがぶ飲みしてべろんべろんに酔っぱらい、全国放送テレビのいわゆるヒーローインタビューに答えるためにカメラの前に出てきたのだが、そこで彼が語ったあの「伝説の名セリフ」を思い出さずにはいられない。

 W杯決勝前夜の心境がどうだったかを問われた彼は、『その質問を待ってたぜ』とばかりにニヤリと笑うとこう答えた。

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