ネイマールが加入した来季のバルサを妄想してみる (3ページ目)

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • 中島大介●写真 photo by Nakashima Daisuke

 とはいえ、サッカーは算数ではないので、そう単純にはいかないケースもあり得る。

 すでにふたりの共存について疑問の声が上がっているのも事実で、かつてバルセロナでプレイし、監督を務めたこともあるオランダの名手ヨハン・クライフ氏は、ネイマール獲得について次のようなコメントをしている。

「私が監督なら、ひとつの船に、ふたりの船長を置くことはしない。過去から学ぶべきだ。過去をよく研究すれば、それが良いか悪いか分かるはずだ」

 このクライフ氏の発言の通り、たしかに最近のバルセロナはメッシ中心のチームになっている。明らかに船長はメッシだ。これだけケタ違いの選手なのでそれは当然なのだが、逆にメッシをそれ以外のスター選手と共存させることが難しいという側面もある。

 クライフ氏の「過去から学ぶべき」という観点で言えば、スウェーデン代表のズラタン・イブラヒモビッチがその最たる例だ。

 2010年、鳴物入りでバルセロナに加入したイブラヒモビッチだったが、本人はチームに馴染もうと努力したものの、結果的にメッシとそりが合わず、当時監督だったグアルディオラはイブラヒモビッチをベンチに座らせることで解決を図ったという過去がある。

 だとすれば、ネイマールはその例から学ばなければならない。つまり、ピッチ上では究極のエゴイストになるメッシと共存するために、自身のエゴを多少なりとも封印する必要があるだろう。たしかにサントス時代は船長だったかもしれない。しかし、来季からプレイするバルセロナでは、現在の船長であるメッシの盛り立て役に回らなければならないのである。

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