酒井高徳インタビュー「ブンデスでの苦楽と日本代表への思い」 (2ページ目)

  • 了戒美子●取材・文 text and photo by Ryokai Yoshiko

シュツットガルトの少年ファンにサインを求められる酒井高徳シュツットガルトの少年ファンにサインを求められる酒井高徳――そんな悩みが象徴的に表れたのが最後の3節だったんですね。

「加入したばかりの昨シーズンの半年(2012年1月に移籍)は、周囲の選手に合わせて自分のプレイを簡単にやっていた。でも今は、自分の中で要求もあるんです。例えばもっと攻撃に参加したい、もっと裏に飛び出るような動きがしたいというときに、周囲にもいろいろな要求をしたいんです。でもうちのチームは、人がいなければいけないところにいないことがすごく多くて、『おい、なんでいないんだよ』となってしまう。そういう状況を打破できないことがミスにつながっていきやすいんです。自分から積極的にアクションして、絡めたシーンが少なかった。そういうプレイができてるときは良い試合をしてるんです。でも『なんでここにパスコースないの?』と思ってしまうようなときにはボールをとられて失点してしまったりしたので、いろいろと考えてしまいました」

――シーズンを通して、昨季に比べて慎重にプレイしているように見えました。

「犠牲になりすぎた、と言うのはありますね。シーズン途中の勝てなかった時期、自分が攻撃を自粛しなきゃいけないということをどう捉えてサッカーをするか。自分のところに問題があってバランスが崩れているわけではないんだったら、僕が前に出ても不思議なことではないし、別に自粛する必要はないと思うんです。ただ、自分が自粛してることでチームのバランスがとれてしまって、逆にその問題にみんなが気づかず、結局、責任を自分のところでもらいすぎたのかなとも思います」

――ただ、チームはブンデスで苦戦しながらもヨーロッパリーグで16強入りを果たしました。

「やっぱりいろいろなリーグを知るのは楽しかったです。いろいろな選手がいるなって。初めてあたる相手をその場ですぐ理解する力はすごくついたかな。例えばもしもリベリーを知らなかったら、ドリブルがすごいということが分からないじゃないですか。で、1回チェックに行ってみて、こいつのドリブルはすごいぞ、速いぞと思ったら、次からは対応の仕方を変えなければならない。そういう適応能力、判断力はついたかな、と思います。逆に速そうだなと思ったやつが速くなかったら、もっと距離をつめてボールを触らせないようにするとか。中に入ってくタイミングがうまいなと思ったらどう守ろうかな、とか。リーグによって違うサッカーをしていることも、すごい勉強にもなったし、楽しかった。ベルギーはこういうサッカーをしてくるんだとか、ロシアは意外に良いサッカーするなとか、思いながらやっていました」

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