王者バイエルンを苦しめた岡崎慎司、酒井高徳、それぞれの収穫 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • 木場健蔵●写真 photo by Koba Kenzo

 1-0で前半を折り返したが、後半開始早々に立て続けに2失点。そして61分に岡崎、67分に酒井が投入されることになる。この頃になるとバイエルンにも疲れが見えており、シュツットガルトが最後の力をふり絞る。岡崎と酒井は状態の良さと充実ぶりがうかがえ、ピッチを駆け回った。

 71分、酒井のクロスをハルニクが頭で捉えたシュツットガルトの1点目では、岡崎もゴール前に飛び込んでいた。酒井は「細かいことを言えばクロスは慎司さんを狙っていた」と少し悔しそうに振り返った。

 80分の2点目は、右CKのこぼれ球を岡崎が思い切りよくシュート。これが左ポストを直撃し、跳ね返ったボールをハルニクが拾いシュートを浴びせたものだった。ロスタイムには酒井のキックにフリーの岡崎がヘディングシュートを放つ場面もあったが、これは完全にミートせずに終わった。

 好プレイを見せただけに、試合後、「自分が勝利に持っていけたのに......」と岡崎は反省した。一方、酒井は「負けはしたけれど、思い切ったプレイができた。来季に向けた一歩になった」と、途中出場の20分間に手応えを感じていた。

 岡崎にとっても酒井にとっても苦しいシーズンだった。岡崎はリーグ戦で1点しか奪うことができず、この一戦にかけていた。シーズンを通して出場機会が不安定な中、「楽しくてやっているサッカーで、こだわるのは得点だけではない」と考えた時期もあったと言う。この大一番でも、惜しいプレイを見せながら無得点に終わった。

 今季、最終的に彼が得た結論は「生き残るために点を取る。いろいろなところで自分の可能性を見出そうとしたけど、得点での貢献で勝負しないと何も残らない」というものだった。守備面を高く評価されることの多い岡崎のこだわりは、得点だけでなく内容も重視する、というものだった。だが、「そうではない」と気づいた一戦になったと、語った。

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