ユベントス会長「イタリアは一流選手の最終目的地ではなくなった」 (4ページ目)

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper
  • 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

「イタリアと同じく、イタリアのフットボール界も構造改革が必要だ。数年前、イタリアは岐路に立たされていた。私たちは本当に課題に立ち向かい、世界と競い合う決意があるのかと問われていた。しかしそのとき私たちが選んだのは、何もしないことだった。フットボール界には問題がたくさんある。暴力、スタジアム、商標の保護。ついこの間までは政府さえなかったから、スポーツ大臣もいなかった」

 グローバル化を批判する人たちが言うように、フットボールクラブが本当にグローバル化の流れに染まってローカルな魂を忘れたモンスターのような存在なら、ユベントスにとっては逆に楽な話だ。イタリアのことなど忘れ、国際市場だけを考えればいい。しかし、どんなビッグクラブでもローカルな部分を捨てるわけにはいかない。観客もスポンサーもライバルも有料チャンネルの視聴者も、ほとんどが国境のこちら側にいる。

 ユベントスがイタリアと一緒に沈むことはないだろう。しかし今のイタリアの惨状を見れば、アニエリ家のクラブでも成功を手にすることは簡単ではない。
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