ユベントス会長「イタリアは一流選手の最終目的地ではなくなった」
今季のチャンピオンズリーグ準々決勝、ユベントスは第1戦、第2戦ともに0-2でバイエルンに完敗した。落胆の表情を浮かべるコンテ監督(photo by Getty Images)【サイモン・クーパーのフットボール・オンライン】イタリアの落日(3)
10年ほど前なら「ユベントス対ミラン」は世界のフットボールで最高のカードだったかもしれないが、もうそんなことはない。ユベントスの最後の偉大なフィールドプレイヤーであるアンドレア・ピルロはこの5月に34歳になり、偉大なGKであるジャンルイジ・ブッフォンは35歳だ。
ユベントスのパス回しはぎこちなく、のんびりしていた。ミルコ・ブチニッチがユベントスの前線で空回りしているのを見ると、ミシェル・プラティニとズビグニェフ・ボニエクがそのスペースに優雅な輝きをもたらしていた時代が懐かしい。記者席に陣取るジャーナリストがほとんどイタリア人だったのも納得がいく。ユベントス対ミランの試合は「ローカル」なイベントになったのだ。
この試合を見ると、なぜユベントスが今季のチャンピオンズリーグでバイエルンに敗れたかがわかる。その試合の後にコンテ監督がこんなことを言った理由もわかる。「ここ当分、イタリアのクラブがチャンピオンズリーグで成功することはないだろう」
少なくともユベントスは、イタリアではすばらしい成績をあげている。この日、ユベントスはPKによるゴールでミランを1-0で下した。ミランのサブGKが必要もない局面でユベントスのクワドゥオ・アサモアを倒してしまった。僕はホテルに戻り、日付も変わったので眠ろうとしたのだが、まだ国営テレビではブロンドの女性と高齢のサッカー専門家3人がこのPKについて議論していた。いずれにしてもユベントスは今季、29度目の(誰を信じるかによっては31度目の)リーグ優勝を果たした。
イタリアは泥沼のような状況だが、ユベントスはその中で成功をめざしている。しかし、どうすれば可能なのか。イングランドのプレミアリーグは約20億ユーロ(約2600億円)のテレビ放映権料を稼いでいるが、ざっと半分が国内、残り半分は海外からの収入だと、ユベントス会長のアンドレア・アニエリは言う。イタリアのクラブの放映権料収入は約10億ユーロ(約1300億円)だが、90%近くが国内での収入だ。
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