さらばモウリーニョ。レアルの新体制はどうなる? (3ページ目)

  • 山本美智子●取材・文 text by Yamamoto Michiko photo by Rafa Huerta

 アンチェロッティ自身は「レアルに行きたい」と意思表明したが、PSGは契約が1年間残っていると首を縦に振らず、PSGのズラタン・イブラヒモビッチも「残って欲しい」とコメントを出すなど、当初の予想より時間がかかる展開となっている。マドリードではアンチェロッティの来季レアル監督就任はほぼ決まりと見られているが、もし、ハインケスになった場合は2年契約を結ぶとも報じられている。

 トップチームの監督が誰になるにしろ、「スペシャルワン」を失ったレアル・マドリードは、過去の栄光である「銀河系集団」の中心人物だったジネディーヌ・ジダンに希望の灯を見出そうとしている。ペレス会長が来季からクラブのスタッフとして起用したいのは、ジダンなのだ。ジダンはサポーターからの人気が高く、広告塔としても今季の悪いイメージを払拭するにはうってつけだ。

 モウリーニョが就任した当初は、チャンピオンズリーグの際にトップチームに帯同していたジダンだが、時間の経過と共にモウリーニョの言動と相容れなくなり、結局自ら一線を画することを望んだ。

 ペレス会長としては、ジダンがバルセロナでのグアルディオラのごとく、レアルのトップチームを率いることを望んでいるようだが、指導経験が不足しているため時期的にはまだ早いだろう。現段階では、ジダンの役割は強化担当あるいはアンチェロッティの助手のいずれかになると言われている。ちなみに、第2監督にはファビオ・カンナバーロの名前もあがっている。

 また、カシージャスがモウリーニョにベンチに追いやられてから、代わりに主将としてチームを引っ張ってきたセルヒオ・ラモスは、来季の監督について聞かれると、躊躇なく「チームのことを信頼してくれる監督であってほしい」と答えた。

 これは、敗戦後に選手の責任を問う発言を公の場で繰り返しては選手とぶつかってきたモウリーニョへの、チームが傷ついていたことを示す最後のメッセージだった。

 来季レアルが獲得を狙う選手のリストには、ジダンが強く推しているギャレス・ベイル(トットナム)や、イルカイ・ギュンドアン(ドルトムント)などの名前があがっているが、結局監督が決まらないままでは交渉も前に進まない。ほかに、ロナウドも契約更新にOKを出していないなど課題は尽きず、レアル・マドリードをとりまく状況はまだまだ混迷しそうだ。

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