さらばモウリーニョ。レアルの新体制はどうなる? (2ページ目)

  • 山本美智子●取材・文 text by Yamamoto Michiko photo by Rafa Huerta

 国王杯決勝でアトレティコ・マドリードに負けた後、ジョゼ・モウリーニョは記者会見場に現れ、「3年間、私は試合に負けた後に隠れたことは決してない。3か月ではない。3年間だ」と胸を張っていつものモウリーニョ節を繰りひろげたが、その日を最後にメディアの前から姿を消した。

 国王杯決勝で、モウリーニョはクリスティアーノ・ロナウドと共に退場処分を受けたが、それすら、公の場に姿を現さず、黙ってベルナベウから去るための「戦略」ではなかったのかと言われるほどだ。

 実際、その後のリーグ戦では、試合前、試合後ともに会見を拒否し続けている。それが「スペシャルワン」の流儀だ、と開き直られてしまうと元も子もないが、「名将」と呼ばれる監督の応対としては、あまりにもお粗末だ。

 また、モウリーニョの罪は、今季の主要タイトルを獲得できなかったことだけではない。選手を育てることがほとんどできなかった。育成に時間をかけるような無駄なことを意図的にしなかったとも言えるだろう。

 モウリーニョが在任中に獲得した選手は、カジェホン、コエントラン、シャヒン、バラン、アルティントップ、モドリッチ、エッシェン、そして今季の冬にやってきたGKディエゴ・ロペス。この中に来季もレアルの中心的戦力を担う選手は数えるほどしかいない。脇役は変わったにしろ、主役は3年前から変わっていないのだ。

 そんなモウリーニョがいなくなることで恩恵を受ける筆頭は、GKイケル・カシージャスだ。レアル生え抜きのスペイン代表GKは、負傷を理由にあっさりとスタメンから外され、ケガが治った後も「私がいる限り、プレイすることはない」とまでモウリーニョに断言されていた。ようやく、悪夢から解放されることだろう。

 一方、モウリーニョが連れてきたGKディエゴ・ロペスは、難しい状況に置かれるが、出場できる可能性は皆無ではない。カシージャス放出は、モウリーニョのみならず、実は何年も前からペレス会長が望んでいることだからだ。もっとも、この頭脳明晰な会長が、レアルサポーターの敬愛を受けているカシージャスを面と向かって悪く言うことは決してないこともまた事実だ。

 現在、モウリーニョの後任として名前が挙がっている第一候補は、パリ・サンジェルマン(PSG)のカルロ・アンチェロッティ、第二候補がバイエルンを辞めたばかりで、過去にレアルを率いた経験のあるユップ・ハインケスだ。

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