CL決勝でドイツ勢が示したサッカーの新たなトレンド

  • 福田正博●解説 analysis by Fukuda Masahiro
  • photo by Akagi Shinji

 ロンドンのウェンブリーで行なわれた今季のチャンピオンズリーグ(CL)決勝。初のドイツ勢対決となったバイエルン対ドルトムント(2-1)の一戦を現地取材した福田正博氏が、この試合のポイントを分析した。

 試合は立ち上がりから、ドルトムントがアグレッシブにしかけていき、非常に面白い展開になった。ドルトムントはチャレンジャーとして、バイエルンを相手に自分たちのサッカーを貫いた。前半、そのドルトムントのサッカーがうまくハマった。バイエルンは攻めあぐねて前線にボールをつけられず、横パスとバックパスばかりで、後ろで回しているシーンが多かった。

老練なハインケスと青年監督のクロップの戦いは、今季限りでバイエルンを離れるハインケスが勝利老練なハインケスと青年監督のクロップの戦いは、今季限りでバイエルンを離れるハインケスが勝利 ドルトムントは全員がハードワークをするコンパクトな守備陣形で、バイエルンの最終ラインにもプレッシャーをかけ続けた。また、中盤のエリアでは縦パスのコースを限定し、中に入ってきたボールに対して、すぐにアプローチしてボールを奪い、縦に速く攻撃した。前半はドルトムントが主導権を握っていたと言っていいだろう。

 あれだけのラインの高さをキープするのは、前線がしっかりとハードワークをしてボールホルダーにアプローチするのが大原則であり、生命線。怖がらないで高い位置をキープしてコンパクトさを保つために、攻守の切り替えの早さ、スピードが求められる。

 ドルトムントは攻撃的なサッカーではあるが、ポゼッションはしない。今季CLベスト4に進出したチーム(バイエルン、ドルトムント、バルセロナ、レアル・マドリード)のうち、平均ボールポゼッション率が50%を切っているのはドルトムントだけで46%。ほかの3チームは50%以上あった。つまり、ドルトムントのサッカーが、ボールを回すことなく縦に速いことをこのデータが示している。

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