CL総括。バイエルンの4人が欧州最高の前線となり得た理由 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Akagi Shinji

 ロッベンとリベリーの2大スターが接近してプレイしても、マンジュキッチとトーマス・ミュラーがいれば大丈夫。バランスは崩れない。そこにバイエルンの強みがある。

 ドルトムント戦。後半15分にマンジュキッチがマークした先制点は、そんなバイエルンの強みが発揮されたシーンだった。

 真ん中をリベリーが進み、左サイド前方をロッベンが走る。この2人が高度なパス交換を決めたことで、バイエルンのチャンスは拡大。ロッベンの折り返しが、マンジュキッチのゴールに繋がった。

 メッシとクリスティアーノ・ロナウドも凄いが、ロッベンとリベリーもかなり凄い。その両者が同じチームで、コンビネーションよくパス交換を行なえば、決定的なプレイが生まれる確率は高まる。

 それに伴う守備のリスクも少ない。チームのバランスが損なわれることはない。

 これはかなり珍しい話だ。カカとロナウジーニョ。06年W杯のブラジル代表でコンビを組んだこの両者は、ロッベンとリベリーより上だった。横綱同士のコンビだった。だが、ブラジルのサッカーはうまくいかなかった。理由は様々だろうが、マンジュキッチとトーマス・ミュラーがいなかったことも、その大きな原因だろう。

 バイエルンはドルトムントに追いつかれ、一瞬、危ういムードになったが、攻撃の多彩さは、時間の経過とともに増していった。89分。そして決勝点は、ロッベンとリベリーの絡みで生まれた。真ん中のコースを駆け抜けたロッベンは褒められるべきだが、これは従来の攻撃に幅があるからこそ生まれたゴールだと思う。

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