CL総括。バイエルンの4人が欧州最高の前線となり得た理由 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Akagi Shinji

 今日的で攻撃的、効率的。4シーズンで3度の決勝進出を果たした原因である。そしてそのバランスが最も良かったのが、ドルトムントと戦った今回になる。

 バイエルンの布陣は、マンジュキッチとトーマス・ミュラーが真ん中で縦関係に並び、その脇をロッベンとリベリーが固める4-2-3-1だが、パッと見たときに、4-2-4に見えることがしばしばある。

 4人で前方を幅広くカバーしているからだが、とはいえこの4人が、前方の各所にベッタリ張り付いているわけではない。ロッベンとリベリーが両サイドにウイング然と鎮座しているわけではないのだ。

 流動的ではあるが、流動的という名の下に、秩序なく勝手に動き回ってしまうどこかの国のサッカーとは大違い。4人がそれぞれのポジションを気にしながら、穴を作らないように努力している点こそが、注目すべき箇所になる。

 たとえば、この4人の中で中盤志向が一番強いリベリーが中盤に下がると、トーマス・ミュラーがすかさずサイドに開くというように、攻撃のルートは、絶えず常に真ん中と左右の3方向に用意されている。

 トーマス・ミュラーとマンジュキッチの両選手は、選手としての格でロッベン、リベリーにやや劣る。こちらは「関脇」、「小結」クラス。微妙な差ではあるが、これがバランスを維持するためには不可欠な要素になる。

 彼らの動きは、ロッベン、リベリーより献身的だ。バランスを維持する動きを、苦にせずできる。そのうえユーティリティだ。サイドに出ても、それに応じた身のこなしができる。ワントップとしてマンジュキッチの出場機会がマリオ・ゴメスより圧倒的に多いのも、そのあたりと大きな関係がある。ゴメスがセンターフォワードのポジションに座ると、前の4人の流動性は途端に質が低下する。

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