3度目の正直でCL制覇。バイエルンに黄金時代到来の予感 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

 それでも「前半からとてもいいプレイをしていた」というハインケスの見立て通り、ロッベンは最後の最後に大仕事をやってのける。

 1-1で迎えた89分、ゴール前に走り込み、FWフランク・リベリーからヒールパスを受けた瞬間、「ファーストチョイスは左へのパスだった」とロッベン。ところが、「ファーストタッチでDFを置き去りにできた」ため、シュートを選択。

 GKと1対1になったロッベンは、あとはGKの動きを見て冷静にシュートを流し込むだけでよかった。マンオブザマッチにも選ばれたオランダ代表FWの背番号10が語る。

「(2010年の)ワールドカップも含め(オランダは準優勝)、3回も決勝で負けていたが、ついに(優勝を)成し遂げることができた」

 しかし、この日のヒーローは殊勲の決勝ゴールを脇に置いて、あくまでチームの勝利であることを強調する。

「サッカーはチームスポーツ。みんなで最高の結果を手に入れることができた。バイエルンは、全員がお互いのためにプレイする"本当のチーム"だった」

 ハインケスもまた、「全員がワールドクラスであるうえに組織的に戦える、機能性の高いチーム」だと、選手を称えた。

 結果的に、スコアは2-1。勝負が紙一重だったことは間違いない。

 試合序盤のチャンスを生かし、ドルトムントが先制していたら。あるいは、ドルトムントのMFロイスが同点ゴールにつながるPKを得た場面で、ファウルをとられたバイエルンDFのダンテに2枚目のイエローカードが出されていたら――。

 それでも試合全体を総合的に判断すれば、バイエルンの勝利という結果は妥当なものだ。指揮官の言葉どおり、個々に能力の高い選手が、しかも組織的に戦えるという点において、ドルトムントより一枚上手だった。

 とはいえ、ハインケスが「両チームとも戦術的に高い水準にあり、非常に激しい試合だった」と振り返ったように、ドルトムントもまた、敗れたとはいえ、あらためて優れたチームであることを印象づけた。

「またファイナルに戻ってこよう」

 試合後、選手たちにそんな声をかけたというドルトムント監督のユルゲン・クロップ。若き知将は時折笑顔も見せながら、満足そうにこう試合を振り返った。

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