CL決勝展望。
雪辱を期するバイエルンか?16年ぶりのドルトムントか?

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 また、ビッグマッチでは経験値が重要で、平常心でいられるかどうかが勝敗を分けるひとつの要素。ドルトムントの不安要素は経験不足にあり、CL決勝のような大舞台を経験している選手があまりいないが、これは選手だけでなく、監督についてもあてはまる。

 ドルトムントのユルゲン・クロップ監督にとっては初めてのCL決勝だが、バイエルンのユップ・ハインケス監督はCL制覇をしたこともあり(1997-1998シーズンにレアル・マドリードを指揮して優勝)、経験豊富。青年監督と老練な名将の采配対決がどうなるかも見どころだ。

 ただし、経験があることが必ずしもいい結果につながるとは限らない。「ビギナーズラック」という言葉もある。一発勝負の決勝で思い切りよく行けるドルトムントが、その勢いで運や流れを引き込む可能性は十分にある。運は待っていてもダメで、それを引き込む強さが必要だが、ドルトムントにはそれだけの強さが備わっている。

 バイエルン、ドルトムントともに、ドイツらしい勤勉さがベースにあり、高さ、速さ、強さ、すべてがそろっていてスキがない。その2チームが決勝で対戦するということは、これからのサッカーの潮流を象徴しているとも思う。どんな戦いになるのか楽しみだ。DFラインとFWの駆け引きや、選手のポジショニンング、戦術など、世界最高峰の戦いを現地でしっかりと見てきたい。

プロフィール

  • 福田正博

    福田正博 (ふくだ・まさひろ)

    1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。

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