今季ドイツで最も紙面を賑わせた日本人選手は? (3ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by AFLO

 また、シュツットガルトの岡崎慎司も、先発に定着できぬままシーズンを終えてしまった。リーグ戦25試合に出場するものの、1ゴールは本人も納得の数字ではないだろう。得点を挙げないアタッカーに対するメディアの声は辛らつで、地元紙『シュツットガルターザイトゥング』はシーズン総括として、「攻撃の推進力がなく、ゴールを脅かすことはなかった」と、岡崎に厳しい評価を下した。

 そして最後、最も辛いシーズンとなったのは、ホッフェンハイムの宇佐美貴史、デュッセルドルフの大前元紀、ニュルンベルクの金崎夢生の3人だろう。バイエルンから移籍した宇佐美は、序盤こそ高評価を得るものの、2度の監督交代を経てポジションを失い、4月上旬には今季限りの退団が発表された。また、今冬に移籍してきた大前と金崎は、出場機会そのものが少なく、メディアの扱いはほぼ皆無。大前は初先発のチャンスをつかんだ第30節ハンブルガーSV戦で、負傷して途中交代。第32節フランクフルト戦でフル出場を果たすも、チームは2部に降格したため、来季の見通しは不明瞭だ。一方、金崎がピッチに立ったのは、先発1回、途中出場3回の計4回のみ。唯一の先発となった第23節シュツットガルト戦でも46分で交代となり、退団はほぼ決定的だ。

 ざっと今季の日本人ブンデスリーガー11人を振り返ってみたが、シーズンを通してチームの中心として活躍できたのは、酒井高徳(シュツットガルト)、内田篤人(シャルケ)、乾貴士(フランクフルト)、清武弘嗣(ニュルンベルク)の4人ぐらいだろうか。だが、4人ともドイツのメディアを大いに賑わせたとは言いがたい。

 そんな中、大々的にドイツメディアを賑わせた日本人プレイヤーが出現した。マンチェスター・ユナイテッドの香川真司である。CL準決勝のレアル・マドリード戦当日、マリオ・ゲッツェ(ドルトムント)のバイエルン移籍が発表されると、「ゲッツェの代わりに誰を獲得するのか?」という話題がドイツ中を駆け巡った。そこで登場したのが、ドルトムントを2年連続でリーグ制覇に導いた香川である。ドイツでは今でも香川人気が高く、ドルトムントのホームで行なわれたシャフタール・ドネツクとのCL決勝トーナメント1回戦のとき、他会場の途中経過を知らせる映像にオールド・トラッフォードのベンチに座る香川が映ると、スタジアム全体がどよめいた。それほど香川は、まだドルトムントのサポーターたちの心に残っており、それゆえにドイツメディアも大々的に扱うのだろう。

 活躍にバラツキのあった今季の日本人選手だが、2013-14シーズンは誰がブンデスリーガの主役になってくれるのだろうか。香川を超えるほどメディアを賑わせてくれる選手の台頭に期待したい。

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