CLで歴史的大敗。深い傷を負ったバルセロナの未来は?

  • 山本美智子●取材・文 text by Yamamoto Michiko photo by Rafa Hueruta

 ビジャ、アレクシス・サンチェス、ペドロといったメッシ以外のFW陣が機能しない。国内リーグではメッシの不在を補える存在のセスクも、CLになるとその力を発揮できなかった。シーズンを通して一定の実力が出せないまま、バルサはCLから姿を消すことになったのである。

 今回の敗退を受けて「来季に向けて選手を補強していくべきだ」とピケは言ったが、それについてビラノバは「補強は毎年している。補強よりも、(ケガで)失った選手を取り戻すことが先決だ」と答え、シャビは「このチームには将来がある。(この大敗を)ドラマチックに扱う必要はない」と語った。

「ビラノバにはトップチームを治めることができないのでは?」と来季も続投を予定している監督の手腕への疑問の声も、早速あがってきている。

 ここ数年、バルサはトップチームの登録人数を意図的に減らし、ほかのビッグクラブよりも少なくしている。これはできるだけ多くの選手にプレイチャンスを与えるためであり、必要以上の選手をベンチに置かないチームづくりをしてきた。選手層を厚くするより少数精鋭。いわば「家族的なチーム運営」を心掛けてきたわけだが、今季のように負傷者が続出すると、それがかえって仇になることを今回の惨敗でいやというほど思い知ったはずだ。

 この敗退は、バルサの今後のあるべき姿を問いかけている。ビラノバ監督とクラブ幹部が答えるべきリストは長い。すべての問題に対応するには、しばらく時間がかかることだろう。

 グアルディオラが去り、ビラノバ新体制で臨んだ今シーズン、CLで大敗したとはいえ、バルセロナはリーグ戦で首位を独走している。「ひとつの時代の終わり」「サイクルの終焉」と言い切るのは、時期尚早だろう。

 それでも、7-0という今回の結果の傷痕は深い。まずは、リーグ優勝をいち早く決めて、この精神的打撃から立ち直るのが第一だが、バルセロナはこの傷をどのように癒していくのか。チームづくりに変化は起こるのか。そして、さらなる強さを身にまとい、来季からグアルディオラが指揮するバイエルンに雪辱することができるのか。早くも来季のCLが楽しみになってきた。

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