CLで歴史的大敗。深い傷を負ったバルセロナの未来は? (2ページ目)

  • 山本美智子●取材・文 text by Yamamoto Michiko photo by Rafa Hueruta

 メッシという名の「神」がいなければ、奇跡を起こせないのか。歴史的大敗でバルサが敗退した原因はどこにあったのか。

 たしかに、バルサが今シーズン終盤に多くの選手を故障やケガで失ったことは事実だ。今回の試合に関して言えば、攻守の要であるMFセルヒオ・ブスケッツが股関節の違和感から回復せず招集リストに入らなかった。また、この試合に照準を合わせてリハビリに励んでいたDFのマスチェラーノやプジョルも間に合わなかった。

 攻守共にキーマンを欠いたバルサだったが、それでも、キックオフ前にスタンドに現れたモザイクの文字のとおり「自尊心」を賭けて戦った。だが、目の前にある現実は変わらなかった。バルサの最終ラインをピケと共に担ったのは、今季トップチームに昇格したばかりの若きバルトラであり、カギとなる攻守の要のポジションにいるのは、バルセロナのプレイスタイルに完全に適応したとは言い難い新加入のソングだった。

 そんなバルサイレブンは、格下相手に戦う国王杯のメンバーのようだった。この顔ぶれで「CL決勝進出を」「逆転を信じることが私達の義務」と言われても、言葉だけが宙に浮いてしまう。

 この5シーズン、目の前に立ちはだかるライバルを次々に打ち破ってきた栄光がすべて色褪せて見えるほど、バルサは精彩に欠け、バイエルンと互角に戦っているとは言い難かった。

 バルサの代名詞であるポゼッションサッカーもこの試合ではすっかり影をひそめ、バルサのボール支配率は60%を切っていた。それほど、バイエルンに圧倒されていた。

 後半3分にバイエルンのロッベンが先制点をマークすると、98500人であふれるカンプノウのスタンドに静寂が訪れた。この時点でトータル5-0。バルセロナが勝ち上がるためには、後半の残り時間で6ゴールを決めなくてはいけない。バイエルンは決勝の舞台であるウエンブリーに足を踏み入れたも同然だった。

 その後、シャビ、イニエスタと主力であるふたりをベンチに下げた時点で、バルセロナのビラノバ監督はすでに次の試合のことを考えていた。実際、「次に控えているリーグ戦を考えたためだ」と試合後の記者会見で明かしている。

 もちろん、多くの負傷者を抱えただけでなく、この重要な一戦に世界一の選手・メッシをケガで欠いたことは大敗の要因としてあげられる。同時に、メッシにここまで依存するチームを作ってしまったことも敗因のひとつだろう。

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