【CL】バルサ、レアルのお株を奪ったドイツ勢躍進の必然

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by GettyImages

 思い切り守ってカウンター。レアル・マドリードはこの罠にはまり、まさかの敗戦を喫したのだが、ロベルト・カルロスが怒りたくなる気持ちはよく分かった。 バイエルンはまともに組み合おうとしない奇襲戦法で、本命レアル・マドリードに向かっていった。バイエルンは勝利したが、その代償は大きかった。バイエルン及びドイツのサッカーは、好感度をさらに下げることになった。

 ドイツ勢同士の決勝戦が濃厚になった今、落胆を隠せない人が少なからず目に付くが、彼らには当時のイメージがいまだに残っているのだろう。

 だが、今回の勝利はかつてとは違う。何といってもパスが繋がるようになっている。ピッチに描かれるデザインも、良くないサッカーの象徴といわれる二等辺三角形型(守備に人を多く割き、前にいくほど人が少なくなる)から完全に脱却。両サイドを使った攻撃サッカーを見せる。

 特にバイエルンにはリベリー、ロッベンという、メッシ、クリスティアーノ・ロナウドに次ぐスター選手がウイングの高い位置で構えている。バルサっぽいサッカーと言ってもいいほど、見栄えの良い今日的なサッカーを展開する。

 来季、バイエルンの監督にはグアルディオラが就任するが、今のそのサッカーと、彼の目指すサッカーとが、そう遠い距離にあるとは思えない。グアルディオラの選択は賢明だったような気がしてならないのだ。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る