【CL】バルサ、レアルのお株を奪ったドイツ勢躍進の必然 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by GettyImages

 リベリーとロッベン。何よりこの両ウイングが良かった。魅せてくれた。決勝で敗れた原因は、そのリベリーが出場停止だったことと深い関係がある。

 監督は、ルイス・ファン・ハール。後にクラブと揉(も)めてチームを去ることになったが、現在のバイエルンを語る上で外すことのできない人物である。

 彼は94~95シーズン、アヤックスを欧州一に導き、バルサでも計4シーズン、監督を務めている。バルサでは国内リーグのタイトルは2度獲得しているが、チャンピオンズリーグでは成績を残せなかったために、クラブを追われるように出ていった。だがバルセロナのベテラン記者によれば、現在のバルサのサッカーはファン・ハールの影響を強く受けているという。

「前任のグアルディオラは、ピッチ上に三角形(パスコース)をできるだけ早く作ることを何より浸透させようとしていたが、その考え方をバルサに持ち込んだのがファン・ハールで、グアルディオラはそれを昇華させるサッカーを目指していた」と、そのベテラン記者は語った。

 実際、僕がその昔、ファン・ハールに行なったインタビューでも、彼は三角形の重要性について口角泡を飛ばしながら力説してくれた。バイエルンでもそのことをチームに浸透させようとしたことは想像に難くない。

 バイエルンが最後にチャンピオンズリーグを制したのは、決勝でバレンシアにPK戦勝ちをした00~01シーズンだ。準決勝でバイエルンと対戦したレアル・マドリードの左サイドバック、ロベルト・カルロスは試合後に不満を爆発させていた。

「バイエルンのやっているのはサッカーじゃない。あんなサッカーで勝って嬉しいのか」

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