マンUプレミア制覇。香川真司は栄冠をどう受け止めたか (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Getty Images

 過去2度と比べてしまうと、今回の感情が歓喜とはほど遠いのは歴然としている。

 理由は明らかだ。名門マンチェスター・ユナイテッドに移籍し、チームにスムーズにフィットすることができなかったこと。苦しむ中で、追い打ちをかけられるように故障による長期離脱を経験したこと。

「歴史あるクラブに来たというのは本当に想像以上のプレッシャーだった。こういう中で生き抜くためには精神的にタフでないといけないし、強い信念だったり、強い何かを持ち続けないと成功しないと思っている。そういう意味ではまだ1年ですし、もっともっと自分というものの良さを出せると思っているし、徐々に良くなっているというのを確かに感じる。このチームで自分のプレイをし、名前を残せるように、もっともっと努力していきたいと思います」

 優勝を決めたこの試合でも、出来は悪くはないのだが、決定的な仕事はできなかった。エース、ファン・ペルシーは前半だけでハットトリックを決めた。特に前半13分のミドルシュートはファーガソン監督に「今世紀ナンバー1のゴール」とまで言わせた劇的なものだった。香川はトップ下でフル出場したが、無得点。後半32分にはゴール前でGKと1対1になりながら、シュートを外した。

 ファン・ペルシーの3点目は、香川が起点となり、ギグスにスルーパスを出したところから始まった。だがそのことについて問われた香川は「とりあえずコントロールして出せたので良かったと思います」と、取るに足らないことだと言わんばかりに素っ気なかった。近頃、自分のリズムを感じられるだけにもどかしいようだ。

「今の時期は楽しくサッカーできているし、ようやく自分とチームがうまくかみ合ってきて、自分の良さも出せている。でも、結果という意味では今日もチャンスがあった(が決められなかった)。ここで3点決めるファン・ペルシーというのはやっぱりすごい選手だなと感じたし、そういう選手になるために、もっともっとこういう厳しい環境の中でやり抜いていきたいと思います」

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る