【ドイツ】ユニフォームを交換。長谷部誠が認めた清武弘嗣の成長 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Getty Images

 3戦ぶり先発の長谷部は右SBでの出場だった。3月にはMFジョズエがアトレチコ・ミネイロへ移籍。ボルフスブルクで6季を戦った中盤の功労者が去ったことはチームにとっては痛手だ。だが、長谷部にとっては本職のボランチでの出場の可能性が増えるものと思われた。だが、ふたを開けてみればSBでの出場。「中盤もあるかなと思ったけど、右SBはもっと人がいないから」と、苦笑いするしかなかった。

 長谷部は最終ラインの一角としてそつなくプレイした。大きなピンチも招くことはなかったが、逆にチャンスにも絡まない。サイドを中盤とのコンビで崩すには至らず、時折ドリブルで前進したものの、いかんせんその位置が低かったのが残念だ。

 この日、存在感を示したのは清武のほうだったと、長谷部も認めている。その言葉を借りれば「全ての攻撃は清武から始まる。逆にほかからは始まらない。怖い選手」ということになる。

 ヨルダン戦から中4日。ふたりは今、あの一戦をどう消化しているのだろうか。長谷部は切り替えに関して、「肉体的にはもちろん、精神的にも全く問題がなかった」という。

「代表とチームは全く別もの。代表の悔しさは代表で、と思っている」

 清武のヨルダン戦のとらえ方は違った。

「ヨルダン戦で決めたかったので、少しへこみましたし、残念でした。でも、あの試合で得たものはたくさんあると思います。(オーストラリア戦まで)あと2ヵ月、切り替えないと成長できないと思っている。今日は切り替えてやれたんじゃないですかね。良く言えば(W杯出場を)ホームで決められるというメリットもあるし、そこを目指して今はチームでやるしかないなと思います」

 試合後には、長谷部と交換したというユニフォームを手にしてミックスゾーンに登場した。

「前回対戦時にはまだ、『下さい』って言い出せなかった。でも今日は自分から言ったんです」

 以前より少し大先輩との距離を縮めた清武は嬉しそうだった。

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