【CL】準々決勝で輝くのはどちらか?メッシとロナウドの今季を比較 (3ページ目)

  • 山本美智子●取材・文 text by Yamamoto Michiko photo by Rafa Huerta

 一方、今季、メッシがリーグ戦で連続ゴールを決め始めたのは、昨年11月に息子のティアゴが生まれてからだ。長男が生まれた翌日の試合は、カンプノウでのセルタ戦(11月3日)だった。その試合でバルサは勝ったが、ゴールを決められなかったメッシは、「息子さんにゴールを捧げられなくて残念だったのでは?」と聞かれると、「息子には、これからいくらでもゴールを捧げるチャンスがあるから」と答えていた。そして、その次の試合からメッシはゴールをマークし続け、スペインリーグで誰も達成したことのない連続ゴール記録を樹立した。

 同年代に生まれた驚異的なふたりのFWの偉業は、数字にばかり注目が集まるが、ふたりの魅力はそれだけでは片づけられない。メッシも、ロナウドも、ゴールを量産するロボットではない。多くの苦しみを乗り越え、人生に新たな喜びを見出し、それを活力としてピッチで表現し続けているひとりの人間だ。だからこそ、彼らのゴールは感動を呼ぶ。

 単にゴールネットを揺らすというこのシンプルな行為が、人々の心を揺さぶるのは、そこに、その感動の源となる彼らの「人となり」が見える一瞬があるからだ。

 メッシやロナウドのような“クラック”()の称号を受ける選手には、そう呼ばれるだけの理由があり、桁外れのテクニックやスピードの裏には、並外れた強靭な精神力が潜んでいる。(※スペイン語で「名選手」を意味するサッカー用語

 CLという、選ばれた選手だけが立てるその舞台に、再び戦いのゴングが鳴り響く。バルセロナは現地時間2日にパリでパリ・サンジェルマンと、レアル・マドリードは3日にホームでガラタサライと対戦する。CL準々決勝で、世界を震撼させるのは、メッシだろうか、ロナウドだろうか。同時代に生まれたふたりの「芸術作品」のプレイを、存分に堪能したい。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る