【イングランド】マンU香川真司を苦しめるヨルダン戦のショック (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by GettyImages

 振り返れば開幕直後は、言ってみればチームの軸だった。昨年10月23日にチャンピオンズリーグのブラガ戦で負傷するまでに行なわれた公式戦は11試合。そのうち先発しなかったのはわずかに3試合だ。このうちベンチ外になったのは1試合のみで、日本代表の欧州遠征直後のストーク・シティ戦。この試合はブラガ戦の直前であり、重要度の低い試合とみなされたのかもしれない。ベンチスタートになったのは2試合。ひとつは第4節ウィガン戦だが、日本代表のイラク戦の直後だったため、体調が考慮されたのだろう。純粋にパフォーマンスから先発を外れたと思われるのは10月2日のチャンピオンズリーグ、クルージュ戦だけだった。

 どのような意図で起用し続けたのか、ファーガソン監督の胸中は知る由もないが、香川には確かにチャンスが与えられていた。ただしそれを生かし切れたかと言えば、移籍直後から活躍して前半戦のMVPに輝いたドルトムント時代とは様相が大きく違う。

 負傷から復帰した年明けはまだ良かった。1月の公式戦7試合中先発は4試合。試合数も多く、負傷明けのコンディションも影響しただろう。1月末のサウサンプトン戦では移籍後一番ともいえる活躍を見せた。だが2月に入ると、最初の2試合に出場できず、迎えたアウェーでのチャンピオンズリーグ、レアル・マドリード戦は活躍とはほど遠い出来映えだった。その後の2試合も出場がなく、2月は5試合で1試合のみの出場となった。

 気になるのはレアル戦の翌週、ファーガソン監督が「香川は来年もっと活躍する」という主旨の発言をしていることだ。それは今季のパフォーマンスには不満で、フィットには時間がかかるという意味にもとれた。

 3月に入ってノリッジ戦でのハットトリックはあったが、続く大一番、ホームでのレアル戦は出場なし。FA杯チェルシー戦は先発したが、引き分け再試合となり、評価を上げるには至らなかった。

 この日のサンダーランド戦も、多くの時間帯で周囲とのリズムが合わず苦しんでいた。しかし、終わったことよりも今後が重要だ。まずは出場機会を少しでも増やす必要がある。

「毎試合、ゴールに絡むこと。シュートまでいくことが課題」と、試合後の香川はいつものコメントを口にした。

 過去にいたどのチームよりも格段に厳しい世界で香川は戦っている。

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