【イタリア】守備的?攻撃的?
ユーベ指揮官が考える3バックシステム

  • クリスティアーノ・ルイウ●取材・文 text by Cristiano Ruiu宮崎隆司●翻訳 translation by Miyazaki Takashi

――今は異なるとはいえ、かつてグアルディオラ指揮下にあったバルサもまた、DF3枚の「3-4-3」でプレイしていました。仮に共通点があるとすれば?

「それはない。残念ながら、と言うべきなんだろうか(笑)。とにかく、あの美しい彼らのサッカーは、我々のそれとはまるで異質のものだからね。それに、私がユベントスの監督に就任したときに考えた、『自信を取り戻す』という作業が彼らには必要がないとさえ言えるだろう。

 彼らのサッカーはまず、長年に渡って蓄積されてきた『バルセロナのクラブ哲学』という、分厚く明確なコンセプトがあって、それを選手たちが完璧に共有し、その結果としてシステムができあがっている。

 我々の側に学ぶことは多くても、そこに共通点を見出すことはできない。ただ、ひとつだけ、私が率いるユベントスもまた常に攻めに行く姿勢を持っているという点では、おそらく、どこか通じるところがあるのかもしれないんだが」

――現在のユベントスでは、どうしても多くの眼がイタリア代表MFのアンドレア・ピルロに向けられるのですが、彼と同じぐらい着目すべきはDFアンドレア・バルツァッリではないでしょうか。昨季から今季これまで、ほぼノーミス。絶対に欠くことのできない選手と言えるはずです。

「もちろんその意見に異論は一切ない。誤解を恐れずに言えば、バルツアッリというディフェンダーの存在が、それこそバルサとの違いを、ある意味象徴しているのではないかと思う。

 とにかく、今の彼はユベントスだけではなく、イタリア代表でも不動の存在。絶対的な柱になった。安定感は群を抜く。DFを目指す子どもたちにとって、まさに最高のお手本と言えるだろう」

――ポゼッション、枠内シュート総数、CK、敵陣占有率、パスの本数と成功率等、そのほとんどの1試合当りのデータの累計で、現在(第29節終了時)ユベントスは首位を占めています。これはやはり現ユーベのサッカーがイタリア国内で最も上質であることの証なのでしょうか。

「それは分からない。これは、なにも無理に謙虚であろうとしているのではなく、その類いの判断はあくまでも周囲が行なうものだからね(笑)。ただ、今この段階で言えるのは、就任から1年半にして一定の形というべきか、いわゆる"アイデンティティ"的なものを、低くはない水準でチームに浸透させることができたのではないかな、と考えている。

 もちろん我々はまだイタリア国内リーグを一度制したに過ぎないし、今季もまだ道半ば。それだけでなく何と言ってもチャンピオンズリーグ(CL)という難しい戦いがなおも続いている。この欧州最高峰の舞台で結果を残してこそ然るべき評価を得ることができる。(4/2、4/10にCL準々決勝vsバイエルンを控える)可能な限り上を目指して努力を続けていきたい。

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