【スペイン】フランスを圧倒し首位奪回。W杯連覇に死角はあるか (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

 13枠を巡って9組に分かれて行なわれている欧州予選。各グループで2位になると、成績の最もよいチームを除く8チームはプレイオフに回る。2位になるとW杯本大会出場に黄色いランプが灯ることになる。予選の環境は、たとえば日本が属するアジアより何倍も厳しい。フランスとて予選落ちする危険がある。スペインもしかり。フランスとの勝ち点差は僅かに1。再逆転されて2位になれば、大きな騒ぎになる。

 スペインの問題は、イニエスタが左ウイングを務めざるを得ない点にある。スペインの中盤3人は、ブスケッツを扇の要に、シャビ・アロンソとチャビになる。布陣上、イニエスタをそこに割り込ませるわけにはいかない。対応可能な布陣は、中盤ダイヤモンド型の3-4-3にするぐらいしか見あたらない。セスク・ファブレガスもしかり。使いたい選手なのに置くべき場所がない。その結果、彼らは左ウイングやセンターフォワードとして出場している。

 だがスペインにはこの日も後半の途中から出場して活躍したヘスス・ナバス、サンティ・カソルラらがいる。ネームバリューではイニエスタ、セスクに劣るが、布陣的には彼らを使った方が数段スッキリする。これまでの戦いからも、それは実証されている。

 今は彼らを奥の手にとってある状態。選手交代で解決しようとしている。出し惜しみしているうちに敗れなければいいが…と、この日のような勝ち味の遅い試合を見せられると、つい心配がよぎるのだ。

 フランスは良くも悪くもリベリーのワンマンチームになった。彼がいなければ戦力は半減する。かつてのジダンより、チームにとって欠かせない選手に見える。このスペイン戦でも、カウンター攻撃にリベリーが主役として絡むことができたときしか、惜しいチャンスに結びつかなかった。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る