【ロシア】ブラジルを苦しめドロー。W杯ダークホースの面目躍如 (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

 後半は6対4でブラジルが主導権を握っていた。ロシアの守る時間は前半より長くなっていた。だが、粘った。根負けせず、ブラジルに決定的なチャンスを許さなかった。カペッロらしさが出たというべきか。

 そしてロシアは72分、こらえていたモノをはき出すかのように攻撃に転じた。ブラジルゴールに突如、襲いかかりシュートを連発。ブラジルの守備陣が身を挺してクリアするそのこぼれ球をまた狙った。5~6発は連続してシュートを浴びせたと思う。クリンチで逃げる相手をボコボコにするボクサーのように。

 最後にとどめを刺したのは第2列を担当するファイズリン。ブラジル代表がこれまで喫した失点の中でも、最も屈辱的なゴールといいたくなるほど、それは見るも無惨なシーンだった。

 ブラジルはそれでも終了間際、マルセロの折り返しをフレッジが決め、1-1で試合を終えた。だがその直前、場内に乱入者が現れたため、試合はストップしており、フレッジのゴールは再開と同時に生まれたものだった。ロシアの準備ができていない中で生まれたゴールというわけで、客観的に見ても重みに欠ける得点だった。

 スコアは1-1ながら、これはロシアの勝ちゲーム、ブラジルの負けゲームというべきである。イングランドに敗れ、イタリアに悪い引き分け方をし、そしてロシアに対してもそれ以上に悪い内容の引き分けをしてしまったブラジル。そこにはかつてのような高級感はもはやない。ルイス・フェリペ・スコラーリに何か手立てはあるのだろうか。

 一方で、カペッロ率いるロシアは面白い。ブラジル相手に勝利に等しい引き分けを演じた自信は大きいはずだ。少なくとも来年の本大会、グループリーグで日本に敗れた2002年W杯のような失態は演じないだろう。

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