【イタリア】ユーベ監督が分析。なぜセリエAで3バックが主流になったのか? (3ページ目)

  • クリスティアーノ・ルイウ●取材・文 text by Cristiano Ruiu宮崎隆司●翻訳 translation by Miyazaki Takashi

――いわゆる流行と"別の理由"は何かありますか?

「要するに、監督たちの探究心と、もちろんこの私も含めたセリエAに生きる監督たちが常に激しい競争にさらされているという事実を示す一方で、より現実的な"打開策"としての意味を持っていることも事実だろう。

 つまり"失点を少なくするための手段"であると。DF3枚を最終ラインに配すということは、言うまでもなく、敵にボールを持たれた場合には事実上DFの数は5枚になるのだからね。

 さらに、そこへMF2枚が加わるのが鉄則である以上、いわゆるボールのライン(敵のボール保持者の位置)よりも自陣側に7枚が並ぶことになる。4バックなど、他の布陣に比べて守る側の人口密度が高くなるわけだ。ならば失点のリスクが減るのは半ば当然といえる。

 それこそ、先に触れた今季序盤のミランがそうだったように、チームが多くの失点を喫する状態にある場合、監督は時としてDF3枚のシステムを採用する傾向が強いと言うべきかもしれない。

 そして、さらに言えば、ここイタリアのリーグ戦は"より失点の少ないチームが勝つ"。これが他の国のリーグとは決定的に異なる特徴である以上、多くの監督が守備システムの精度を高めることに最大限の力を傾注しようとする。

 まさにこうして我々の国のサッカー史は積み重ねられてきた。昨季のユーベは国内リーグの全38戦で失点は20。同じく無敗でリーグを制した約20年前(91-92シーズン)のファビオ・カペッロのミランが全34戦で失点は21。単純な比較はできないにしても、1試合当たりの失点数は0.53:0.62。この数字が持つ意味は小さくはないと思う」

 ユベントスは昨シーズン無敗で優勝。そして今季も、現在までセリエAで首位を独走している。そのチャンピオンチームを率いるコンテ監督が見つめる世界の最先端の戦術は、今後どのように推移していくのか。多くの監督たちが今日も日夜研鑽を続け、また新たな戦術が生まれてくるのかもしれない。

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