【ブラジル】イタリアとドロー。W杯開催国を優勝候補に押せない理由 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

 相手ボールになっても、マイボールのときと同じように反応するダニエウ・アウベス。一方、他の選手は、相手ボールになるとその場に立ち止まり、まず様子をうかがう。高い位置からプレッシャーを積極的に掛けようとしなかった。イタリア選手に時間を与えるサッカーをしていた。正確なロングフィードを許してしまった。

 昨年10月、ブラジルはボロツラウで日本代表と対戦。4対0で大勝したが、これまでの日本戦に比べると苦戦だった。日本にチャンスをそれなりにつくられていた。プレスの掛かりが弱ければ、相手のネームバリューが世界的でも、そこそこのプレイができることを日本に証明させてしまった。

 今回のイタリア戦も同様だった。再三ピンチを招いた原因の半分以上は、自軍のプレス不足にあった。監督が代わっても下がって守ろうとする癖は相変わらず。これではバルササッカーの流れを汲むスペインには、分が悪いと考えるべきだろう。

 だが、そうはいいながらも、ブラジルは32分にフレッジ、41分にはオスカルのゴールで、前半を2対0で折り返した。

 この差は、マイボール時の差だった。イタリアが縦勝負のカウンターだったのに対し、ブラジルは左右の幅を有効に使う効率の良さを見せた。

 ブラジルの布陣は文字通りの4-2-3-1。対するプランデッリ率いるイタリアは中盤ダイヤモンド型の4-4-2。イタリアがサイドの攻防で後手を踏むのは、布陣の特性を考えると、予想されたことだった。

 案の定、プランデッリは後半、布陣をいじった。ダイヤモンド型の中盤を止め、中盤フラットの4-4-2でブラジルの4-2-3-1に対抗した。するとイタリアは後半9分と11分、デ・ロッシ、バロテッリに連続ゴールが生まれる。

 コーナーキックから生まれた1点目はともかく、バロテッリにミドルシュートを決められた2点目は、ブラジル守備陣がずるずると後退したことに大きな原因がある。サイドを使われ、中盤を制されるとブラジルは脆さを露呈する。

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