【CL】シャルケ敗退。アシストの内田篤人「サッカーって不思議」 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • 木場健蔵●写真 photo by Kenzo Koba

「ファルファンに出そうと思ったんだけど、視界を青いの(シャルケのユニフォーム)が横切ったからそっちに出した」というアシストだった。内田は珍しく右手で拳をつくり小さくガッツポーズを見せた。「恥ずかしい。あんまりそういうところ見られたくないのに。アシストが嬉しかったんじゃなくて、追いついたから......」と、弁明した。

 だが、この日のシャルケがとった2点は、ともに入るべくして入った得点ではない。相手を崩したわけでもない。ペースはむしろガラタサライが握っていた。

「サッカーって不思議だよね。主導権がなくても点が入る。後半に入って意気消沈していても点が入る。もうメンタルが大事なんだか、どうなんだか......」

 結局、2-2のまま後半ロスタイムに入り、終了の笛が鳴る直前には追加点も決められて試合は終了した。

「チャンピオンズリーグは楽しかったから終わらせたくなかった」と、内田は何度も繰り返した。

「2大会に出たけれど、日常にこういう緊張感と、高いレベルの試合があるのは悪くない......負けてしまっては、何も言えないけど」

 シャルケの現在のチーム力から考えれば、これが精一杯の結果だったかもしれない。まず、選手層が薄すぎた。昨年末からDFパパドプロスは離脱中。頼みのエース、フンテラールも不在。ベンチスタートのFWはオバジひとりで、他は全員、負傷中だった。

 ケラー監督が就任してから11試合目となったこのガラタサライ戦。ブンデスリーガでもなかなか勝てない時期が続き、最近の3試合でようやく3連勝したばかりだった。まだチームと指揮官の間に信頼関係ができていたとは言いがたい。

「自分たちで主導権を握って、やりたいサッカーを表現できるようにならないと、このレベルでは勝てない」

 そんな内田のコメントに、すべてが集約されていた。

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