【EL】敗戦にも岡崎慎司「ゴール前で大胆なプレイができている」

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • 木場健蔵●写真 photo by Kenzo Koba

 0-2とされてからの後半19分には、ゲントナーの左クロスに、DFを背負いながらターンでかわして右足でシュート。ギリギリ枠を外れる惜しいシーンに、「あれは決めたかった」と振り返った。

 一方の酒井は、終始浮かない表情だった。

「リズムが悪いと感じながら90分を終えてしまった感じ」と、話にも珍しく力がない。酒井にとっては、周囲のプレイに対して苛立ちが募り、関係性の悪さが目立つ試合でもあった。

「楽しみにしていた」一戦だったはずなのに「有名なチームを相手に怖がっていた。どんなサッカーをするのか、どんな選手がいるのかと試合前に考えていた」ことを正直に明かす。その結果、いつもとプレイが違っていた。

「チームのバランスが悪いのもいつものこと。味方がいて欲しいところにいないのもそう。だけどそれでもいつもはできていたことなのに、簡単にボールを失っていたし、はたから見ればおびえているように見えたかも」と、振り返る言葉からも落ち込みは隠せない。

 普段は守備から入ってカウンター、がシュツットガルトの基本路線だが、この日はエース、イビセビッチの出場停止や、中盤にマキシムが入ったことなどにより、「つなげ」という指示だったのだと言う。確かに先制点を奪われるまでは、リズムは悪くなかった。だが、2人のDFがクリアミスを続けたことで失点し、相手が引き気味になると、そのリズムを失った。後半11分の追加点も、ボランチのミスが発端だった。

 相手に引かれてからは攻撃の起点ができず、攻撃につながるパスがどこからも出なくなった。ボランチはバランスを崩し、最終ラインはパスの受け手を見つけられず酒井に預ける。かといって酒井がどこかに出せるわけでもなく、バックパス。ここ最近では最も悪いサッカーだったかもしれない。

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