【イングランド】ハットトリックの香川真司「生きる形を示せた」 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Getty Images

 その言葉からはルーニー、ファン・ペルシーといった攻撃の中心との関係が向上していることがうかがえる。彼らとの信頼関係がようやくできつつあるようだ。
 
 3得点のうち、もっとも待ち望んでいたのは先制点だろう。関係の良さを感じ、体もキレているからこそ、結果が欲しいと願うのは自然なことだ。ゴールが決まる時には決まるということを「ケチャップがどばどばと出る」と表現したのは本田圭佑だったが、そんな心境だったのではないか。

 待望の瞬間は前半ロスタイムに生まれた。右サイドのバレンシアがクロスを入れ、中央でファン・ペルシーが相手の寄せを受けつつ香川に左足でパスを出す。GKの飛び出す位置を見極めた香川はそれを右足アウトサイドでゴール右隅に流し込んだ。決まった瞬間、本人も一瞬驚いたかのような、はっとした表情を見せた。

「前半からすごく動きの感じは良かったから、あとは結果を残せたらいいなあと思っていたので、1点を取って気持ちが楽になった」

 喜びよりも安堵、だったようだ。

 後半に入ると、選手交代に伴い、ルーニーが1トップ、香川はトップ下に入る。すると攻撃陣は一気に躍動した。ファーガソン監督はそれを「後半はシンジを中盤のセンターに置いたら違いが生まれた」と表現した。

 後半31分の2点目はカウンターからだった。ロングボールに抜け出したルーニーがゴール前のシーンをお膳立て。走り込んだ香川はDFをかわし、GKの位置を見据えて再びゴール右隅へ。

「後半も、最初は相手の攻撃の圧力に引いていましたけど、そこをうまく守って2点目を取るというのがユナイテッドのスタイルでもある。そういう意味で、今日は相手から取った後はカウンターのチャンスだなと思っていたので、それをしっかりできてよかったと思う」

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