【スペイン】転落の始まり?まさかの国王杯敗退でバルサの不安要素が噴出 (2ページ目)

  • 山本美智子●取材・文 text by Yamamoto Michiko photo by Rafa Huerta

チャンスにからめずノーゴールと、不満の残るプレイ内容だったメッシチャンスにからめずノーゴールと、不満の残るプレイ内容だったメッシ 試合前、メッシが「休まない方が僕の体は調子がいい」などと話していたが、そのメッシも、この重要な一戦で決定的な働きをみせることができなかった。

 今季のバルセロナは、リーグ戦では1敗しただけで圧倒的な力を誇っているだけに、ポジティブな評価ばかりが伝えられてきた。しかし実際は、プジョルやシャビら基盤になる選手の高年齢化、メッシ以外のFW陣の不調、チームの要であるブスケッツの控えが育たないなど、多くの問題を抱えている。そして何より、今回の国王杯では第一監督のティト・ビラノバの不在(病気療養中)が大きく響いたといえるだろう。

 今回の試合後、第二監督のジョルディ・ロウラは選手のフィジカル面の不調を匂わせたが、実は、フィジカル面の不調が感じられるようになったのは、今に始まったことではなく、クリスマス休暇を終えてからすでに問題となっていた。

 今年に入ってから選手の動きにキレがなくなり始め、その状態がすでに2カ月近く続いている。そして、それは偶然か必然か、ちょうどティト・ビラノバがいなくなった時期と重なっている。

 バルセロナには、今週末にリーグ戦でのクラシコ、その後は、チャンピオンズリーグでミランとの対戦が待ち構えている。

「今日の試合は忘れなければならない。嫌な記憶を抹消したい」とロウラ第2監督は試合後の会見で語り、セスク・ファブレガスはミックスゾーンで「マドリードとミランはまったく違う。今日の敗戦は、ミラン戦には影響しない」と言い切った。

 現場は前向きな発言をしてはいるが、今回の敗退を受けて、水曜日にはサンドロ・ロセル会長がニューヨークに飛び、治療中のティト・ビラノバを訪問して今後について話し合う予定になっており、バルセロナの内部は揺れ始めている。

 国王杯を失った今、チャンピオンズリーグにかかるバルサへのプレッシャーは大きい。だが、今は時間が唯一の味方だ。3月12日のチャンピオンズリーグ・ミラン戦まで約2週間。その間に選手の疲労回復も見込める。また、ビラノバ監督がベンチに復帰する可能性も残されている。

 国王杯敗退は、バルサ転落の第一歩になるのか。それとも、ここで踏みとどまり、再び、頂点を目指すことができるのか。バルセロナは、今季最大の正念場を迎えている。

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