【スペイン】監督不在に主力の移籍。好調バルサが抱える不安要素 (3ページ目)

  • 山本美智子●取材・文 text by Yamamoto Michiko photo by Rafa Huerta

 そして、今のバルサはこのセルヒオ・ブスケッツの代わりが見つからない。これもバルセロナの抱える大きな問題点だ。今シーズン、彼の出場時間は、GKのバルデスに匹敵するほどで、ほぼ休みなく出場しているフィールドプレイヤーはブスケッツだけであり、疲労が蓄積したらどこかで休ませる必要も出てくる。

 つまり、クラブにとっての基盤であり、アキレス腱でもあるバルデスとブスケッツの代わりになる選手がいないまま、強引に進み続けているのが、バルサの現況だ。

 来季、バルデスが去ることはすでに決定している。それは先の話ではないかと言う声もあるが、バルデス移籍が決定的になったことでチーム内に不穏な空気が漂ってきているのも事実。現在、結果が出ているからその空気を振り払っていられるだけだ。今後、強化担当の手腕が問われるのは間違いないだろう。

 昨年末、バルサはプジョル、シャビ、メッシと、チームの柱になる3人との契約更新を発表。さらに今季で契約が終了する予定の第2GKピントも、1年契約の更新を行なった。チーム内の安定化をはかろうと、クラブ側も必死なのだ。同時に、メッシはともかく、プジョルやシャビなど、全試合フル出場が厳しくなってきている年齢の選手を、いつまでも「救世主」扱いしてもいられない。

「まずは目の前の試合だけを考える」というフレーズは、バルサのコーチスタッフお気に入りの常套句だが、見方を変えれば、それは問題解決の先延ばしに他ならない。不安要素を抱えたバルサは、この問題が表面化する前に解決して、快進撃を続けていけるのか。チャンピオンズリーグ、国王杯と重要な試合が続くこの数週間でクラブの力が試されることになる。

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