【ドイツ】今後に期待大。金崎夢生がデビュー戦でつかんだ手応え (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by AFLO

 しかし、デビュー戦を終えた金崎の第一声は実に意外なものだった。

「自分が入ってから勝ち越されたし、向こうにもチャンスは多かったんで、ディフェンスの部分でもうちょっとうまく味方と連係を取ってやらないとダメなところがあるかなと思う」

 たしかに金崎が語るように、金崎投入の5分後、ニュルンベルクは右サイドの低い位置でのパスのつなぎに乱れが出て、ハノーファーに2度目の勝ち越しを許している。「1-1の状況だったんで、もちろん点を取ってこいっていうことだったと思う」と監督の起用意図を受け止めていた金崎にとっては、あってはならない展開だったに違いない。

 それでも冷静にプレイし続けた金崎は、緊迫した試合の雰囲気に飲まれることも、点を取り合う激しい流れに取り残されることもなかった。金崎は言う。

「ゲームの流れもありますし、そんなに特別(ポジションチェンジを)意識したことはないですけど、キヨ(清武弘嗣)が右へ行ったら自分が左に行ったりとか、疲れているようだったら自分が先に戻ったりとか、そういうふうにはやりました」

 ニュルンベンクでの公式戦初出場を果たした金崎について、すでにチームの主力となっている清武も「夢生くんが入って、すごく流れが変わった」と称え、こう続ける。

「もうちょっと夢生くんを自分がうまく使ってあげられればよかったが、終盤で(自分の)足がついてこなかった。そこは自分の課題だし、90分間フルにやれるようにしたい。でも、夢生くんは右とか左とかに動いてくれたので、今日はすごくよかったなと思う」

 そして、ロスタイムに入った92分。常に自分が果たすべき役割を見極めてプレイし続けていた金崎が、「ムーイング」で支えてくれたスタンドのサポーターに十分なインパクトを残す仕事をやってのける。

 右サイドのタッチライン際でパスを受けた金崎は、相手のファール気味のチャージを受けながらも強引に縦へ突破。オーバーラップしてきた右SBチャンドラーにパスを送ると、チャンドラーからのクロスがFWポルターの劇的な同点ゴールに結びついたのだ。

 いいアピールになったのではないか、という問いに、「どうですかね」と言葉を濁した金崎。だが、自らのドリブル突破がチームを敗戦の危機から救ったことについては、「ただ無心でやっていたが、あれがゴールにつながったことはうれしかった」と笑みを浮かべた。

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