【スペイン】レアル内紛。
モウリーニョと選手の確執の行方はどうなる?

  • 山本美智子●取材・文 text by Yamamoto Michiko photo by Rafa Huerta

 また、試合に負けると「この白いユニフォームを着るのにふさわしくない態度で臨んだ選手がいた」などと、敗因は選手にあるとの考えを示すモウリーニョに対し、今までモウリーニョをかばってきた選手たちが、反旗を翻(ひるがえ)す気配も漂っている。

「文句があるなら、直接選手本人に言ってほしい。記者会見での選手の吊るし上げをやめてもらえないか」と、キャプテンのカシージャス、セルヒオ・ラモスらが監督に頼んだ結果、リーグ戦でカシージャスがスタメンから外されたことはまだ記憶に新しい。

 モウリーニョはその理由を「テクニカルなこと」として片づけたが、昨季まで、チャンピオンズリーグ、リーグ戦、国王杯とすべての大会でカシージャスを起用し続けたモウリーニョが、控えGKのアダンをいきなりスタメンで起用したことは、マドリードのメディアの論調を二分することとなった。

 先週、リーグ戦でオサスナと引き分けた後、モウリーニョとロナウドがロッカールーム内で怒鳴りあいの口論をしたことも話題になった。モウリーニョがロナウドにもっと下がってボールをもらいに行き、ディフェンシブな仕事もしろと命じたためで、それに対してロナウドが、自分のプレイスタイルを変える必要はない、と監督の提案をきっぱりと退けたのが口論の原因だった。

 国王杯でハットトリックをマークし、チームを準決勝に導いたロナウドとしては、自分は仕事を果たしているのに正当に評価されていないとの思いが強いのだろうし、正直、そんなロナウドに同情を禁じ得ない。

 毎週のように問題の絶えないレアル・マドリードの内情について、クラブのお膝元のスポーツ紙であるマルカ紙が、24日、一面に「会長、モウリーニョか僕達か」という衝撃的なタイトルを打った。

 同紙によれば、22日にカシージャス、セルヒオ・ラモス、フロレンティーノ・ペレス会長とジェネラル・ディレクターのホセ・アンヘルが昼食を共にして、その際、さきほどの新聞のタイトルどおり、選手たちが会長らに、今シーズン末にモウリーニョか自分たちかどっちかを選べと迫ったという。

 マルカがこれを一面に取り上げた24日、ペレス会長は緊急記者会見を開くと発表。前回、ペレス会長が記者会見を開いた時は、本人の辞任が発表されたという前例もあったので、会見が複数局で緊急生放送されるなど、スペイン国内は一時騒然となった。

 結局、ペレス会長はこの会見で「この有名なスポーツ紙が報じた内容は虚偽だ」と断じ、クラブとして、今回の報道によりクラブ内の安定を崩され、名誉を傷つけられたとして、マルカ紙を訴える方針だと述べた。だが、マルカ紙は、「自分たちには確たる情報源がある」として、電子版でも頑としてタイトルを変えていない。

 その一方で、カシージャスとセルヒオ・ラモスは、連名で「僕らの監督に最後通牒を突きつけるようなことはしていません」と書かれた公式の通達をメディア向けに発表するなど、クラブ側は火消しにおおわらわだ。

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