ブラジルW杯は「クリーン」な大会になるか

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

 ワールドカップから金をかすめ取ろうとする人たちは確実にいる。ナバロはとくに「監視の目が届きにくい地方のレベル」での汚職を心配している。ただひとつ言えるのは、すでにブラジルで腐敗は「仕方のないもの」ではなくなったということだ。

 だがそれも、何を腐敗と呼ぶかで変わってくる。ブラジリアのスタジアムは7万人を収容するものになるが、ワールドカップが終われば使い道はほとんどないだろう。地元のチームが集めるファンは5000人もいないからだ。建設中の他のいくつかのスタジアムも、大会後の使い道に困りそうだ。

 こうした金の浪費は、ルセフ政権の嘘に守られている。ブラジルのスポーツ省は来年のワールドカップに700億ドル(6兆2000億円)を超える経済効果があると予測している。たいていのスポーツ経済学者が一笑に付すような予測だ。こんなふうに国民を誤解させることも、ある意味では腐敗といっていいかもしれない。

From the Financial Times © The Financial Times Limited 2013. All Rights Reserved.

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