【スペイン】2014年ブラジルW杯、スペイン、そして日本の「最強時代」は続くのか?

  • 杉山茂樹●文 text by Shigeki Sugiyama
  • photo by Getty Images

「危ない」が正直な感想だ。メンバーの固定化、画一的なメンバーチェンジ、豊富ではないアイデア、バリエーションの少ない戦い方、ヒエラルキーが存在するチーム構成等々、好ましくない要素は簡単に、しかも複数、目にとまる。過去の二の舞を演じそうな気配がプンプン匂う。

 これは1年でゴールを迎えるクラブチームにはない代表チーム特有の問題だ。代表の一日は365分の1ではなく(365×4)分の1。監督には4年単位の体内時計が必要になる。試合数はおよそ60で、親善試合はその7割に及ぶ。クラブ監督より、失敗を取り戻す機会は断然多い。新たなものにチャレンジしたり、新戦力を試したり、試行錯誤を繰り返したり、なにより「負けるが勝ち」を体験することができる。

 勝って覚えることより、負けて覚えることの方が多い。反省は、負けた方がしやすいという考え方に基づけば、敗戦を4年間の強化プランの中に意図的に組み込んでいく必要がある。大げさに言えば、予選以外のすべてで負けが許されているのだから。

 2002年日韓共催W杯で、韓国代表監督を務めたヒディンクは、1年半という就任期間の最初の半分は「あえて負けるような設定にした」と言った。「強豪と対戦して、現状の膿(うみ)を徹底的にはき出すことから始めた」と。その話を本人から直接聞かされたのは、就任期間のちょうど真ん中の頃。膿のはき出しが完了したタイミングだった。「チーム力はこれから上がっていくのみ」とヒディンクは、不敵に笑った。

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