【スペイン】2014年ブラジルW杯、スペイン、そして日本の「最強時代」は続くのか? (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Shigeki Sugiyama
  • photo by Getty Images

「中心は中村俊と遠藤」。本番1年前、岡田監督はハッキリそう言った。ところが、南アW杯初戦(カメルーン戦)のスタメンに中村俊の名はなかった。土壇場になって岡田監督は主力を外す決断をした。布陣までも変える大手術を行った。結果的にそれが当たり、ベスト16入りに繋がった。采配そのものは率直に言って無謀だった。代わりに入った本田が、2002年W杯のフランス代表(グループリーグ敗退)で、ジダンの代役を果たせなかったジョルカエフやミクーとは異なり、立派に中村俊を超えるプレイをみせたことが、日本が救われた最大の原因だった。

 その本田はその後、日本の中心選手としての地位を不動にした。実際、本田不在の試合では、日本は大苦戦を強いられている。ザックジャパンならぬ本田ジャパンと言いたくなる所以(ゆえん)だ。だがそれは危険な兆候でもある。本田がケガで欠場したジダンにならない保証はどこにもない。

 予選はなにより突破するものだ。通過の順位は問われない。4.5枠という緩い予選環境と恵まれた組み合わせを兼ね合わせると、突破の可能性が8割以上あることは当初から見えていた。それは世界でも最も高い確率になる。余裕は他のどの国よりある。これは厳然とした事実。現在を本大会というゴールからフィードバックするような、逆算する目が求められている。

 知っておくべきは、いま自分たちは、42.195キロのマラソンコースの何キロ地点を、どの順位で、どんなペースで、どれほど余力を残しながら走っているか、だ。予選はいわば各チェックポイントでのカットライン。余力十分ならギリギリ通過でも構わない。

 ジーコジャパン、岡田ジャパン、はたまたかつてのブラジル、フランスのケースを教訓としてどう生かすか。最後の直線に、どれほどエネルギーを溜めて臨めるか。問われているのはその4年間の使い方だ。予選を通過するか否かは、もはや問題ではない。通過の仕方だ。日本のスポーツ界に蔓延する一戦必勝文化をどこまで排除できるか。長期的視野に立ち、計画的に強化を遂行できるか。

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