【スペイン】2014年ブラジルW杯、スペイン、そして日本の「最強時代」は続くのか? (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Shigeki Sugiyama
  • photo by Getty Images

 さらにいえば、そのバルサとレアル・マドリードが現在、欧州サッカーをリードする存在であることも見逃せない。UEFAリーグランキングでも、スペインはイングランドを抜き、首位の座を奪還している。クラブシーンでも追い風が吹くスペインに、14年W杯で失速を招きそうな気はしないのだ。

 一方、予選免除という問題を抱える開催国のブラジルは、監督がルイス・フェリペ・スコラーリに代わったことで、より期待が持てるようになった。彼にはブラジル人監督には珍しく、交替にバラエティさがある。戦術的交替をお手の物にしている。記憶に残るのは、ポルトガル代表監督として臨んだユーロ2004の準々決勝、対イングランド戦。持ち駒をフルに使い切る能力を、ブラジル代表監督が備えれば鬼に金棒。彼にはそのユーロ2004で、スペインを倒した実績もある。その差は急接近するに違いない。

 さて、"最強"という冠のついた日本はどうか。ザックジャパンは過去2大会のパターンにはまりつつあるように見える。ラスト半年、本番が近づくにつれて失速するパターンに、だ。ジーコジャパンも、岡田ジャパンも、途中までは順調だった。ファンからその時点で高い支持を得ていた。予選でアジアの敵を次々と倒す姿に、本番での期待を募らせた。

 一方でメディアは「予選は何が起こるかわからない」と、最後までもつれた94年アメリカW杯予選、98年フランスW杯予選を引き合いに出して危機感を煽った。一戦必勝。絶対に負けられない戦いとばかり、トーナメント戦と向き合うようなノリで、日本代表の戦い を報じた。予選枠の拡大に伴い、かつてより予選環境が緩くなっていることをあえて伏せ、目の前の結果にこだわろうとした。

 ジーコジャパンは4年周期の3年目が終わると失速。競馬にたとえると、第4コーナーを回り、直線に出たところで馬群に沈んだ。岡田ジャパンも同様なレース運びをした。しかし第4コーナーを回り、いったんは馬群に沈んだものの、本大会直前に打った大博打が奇跡的に功を奏し、最終的にはベスト16に食い込むことに成功した。これはまさに結果オーライ。手放しで喜べる話ではない。

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