【フランス】2002年W杯、フランスがグループリーグで敗退した理由

  • 杉山茂樹●文 text by Shigeki Sugiyama
  • ロイター/アフロ●写真

 たとえばバルサなら、メッシがいなくても、シャビがいなくても、他のメンバーでそれを補うことができる。ケガや累積警告等、自動的にお休みする機会も多々あるので、監督が意図的に外す勇気を持たなくても、出ずっぱりになることはない。片や代表チームはクラブよりそうした機会が少ない。ジダンを理由なく外すことはできにくい環境にある。

 97年のブラジル代表では、ロマーリオ、ロナウドがそれに該当した。絶対に外せない選手になっていたが、ロマーリオは最後になってチームから外れた。

 02年、結局ジダンは、セネガル戦のみならず第2戦のウルグアイ戦も欠場。結果はそれぞれ敗戦と引き分けだった。

 グループリーグ第3戦、対デンマーク戦でジダンは復帰。勝てば他力ながら決勝トーナメントへ進出するチャンスが残されていた。しかし、一度解けてしまったコミュニケーションは、元に戻ることができなかった。

 結果は0-2。サッカーの怖さを、まざまざと見せつけられた。

 この事実から学ぶべきことは、チームの大エースといえど、選手は生ものだということだ。サッカー選手にケガはつきもの。いつ戦線離脱するかわからない。フランスにはその備えが不足していた。いつしかジダンありきのフランス代表になっていた。まさかの敗退を喫した唯一にして最大の原因だった。

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