【イタリア】スペクタクル! ゼーマン色に染まり始めたローマ (3ページ目)

  • 内海浩子●文 text by Hiroko Uchiumi
  • photo by Getty Images

 デル・ピエロがそうだったように、彼がローマで美酒を飲むために残されている時間はもう長くはない。そのために最も防ぐべきはチームの分裂である。だから不慣れな左サイドでの守備量につべこべ言うどころか、それをしっかりやった上で抜きんでた才能と技術をピッチ上で見せつけている。彼が文句を言わないのなら、誰が不服を唱えられようか。

 現在リーグトップの得点力を誇るローマ最大の弱点は安定感のなさと言われている。3対0で勝っていようとも、追いつかれたり、逆転されるのではないかという不安をサポーターに持たせ、敵には期待を抱かせるのだ。確かに守備はローマの長所ではない。だが、それは最後まで追加点を奪いにいくゼーマンサッカーのキャラのせいでもある。4DF全員が今季新加入選手であることを考えると時間の猶予も必要だろう。

 今季のローマはペスカーラに次ぐ平均年齢の若いチームであることも忘れてはならない。そのペスカーラは昨季ゼーマンが作った。今、彼はローマで同じことをしている。ステケルンブルフが故障から戻ってきたからも24歳のゴイコエチェアにゴールを任せ続けているのもそのひとつ。守備の司令塔カスタンとコンビを組む才能豊かなマルキーニョスはまだ18歳だ。

 ミラン戦では17歳のロマニョーリがセリエAデビューを果たした。その際、緊張するこの若者を見たゼーマンは、いつもの仏頂面を解き、ほほ笑みウインクして送りだしていた。ローマがどんどん若くなっている。ローマがゼーマン色に染まり始めた。

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