【ドイツ】現地で本当に評価されている日本人選手は誰か? 2012通信簿 (3ページ目)

  • 鈴木良平●解説 analysia by Suzuki Ryohei
  • photo by Getty Images

 6シーズン目を迎えたヴォルフスブルクの長谷部誠も、マガト監督が解任されてからようやく本領を発揮し始めている。

 最近のマガト監督は、選手の獲得や補強などの人事権に執着し、自分の意に反する移籍行動などを起こした選手を冷遇するようになった。長谷部はその影響をもろに受けて苦悩の日々を過ごしていたが、その期間をじっと耐え、我慢したことが、今になって実を結んだ格好だ。

 長谷部が評価されるのは、そうした精神的な強さがひとつ。そして、労を惜しまずチームに貢献できることと、監督の指示を忠実に実践できることにある。

 現在、指揮を執るコストナー監督はもともとBチームを指導してきた人物だけに、そうした長谷部の良さをよく理解している。ゆえに、監督交代後は長谷部をすぐにレギュラーに抜擢した。

 その後も、感情に流されず、常に冷静な評価を下す指揮官から、長谷部はスタメンを任されている。そこに、長谷部の評価の高さが示されている。

 シーズン序盤でセンセーショナルな活躍を見せたフランクフルトの乾貴士も、現地で評価を得ている日本人選手のひとりだ。

特に、開幕から6戦無敗(5勝1分け)の快進撃を見せたチームの中にあって、乾のパフォーマンスは出色だった。キレのあるドリブルと卓越したボールテニックで決定機を演出し、メディアでも清武と並んで話題を集めた。

 それが最近は、チームの不調とともに乾自身のパフォーマンスも低下。ここ数試合の乾は自信喪失気味なので、得意とするドリブルの仕掛けも見られなくなっている。取り上げるメディアもほとんどなくなってしまった。

 海外で活躍する日本人選手は増えても、乾のように2部で実績を残して1部に這い上がってきた例は少ない。そこは評価されるべきだし、彼のポテンシャルの高さはドイツでも認められている。それだけに、後半戦では巻き返しを期待したい。

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