【イングランド】ダービーマッチでマンUに惜敗。シティの「バルサ化」が加速する? (2ページ目)

  • 鈴木英寿●取材・文 text by Suzuki Hidetoshi
  • photo by AFLO

 たしかに、すでにチャンピオンズリーグで決勝トーナメント進出を逃し、ヨーロッパリーグの出場権も得られず、さらにキャピタル・ワン・カップ(リーグカップ)も敗退しているシティにとって、『ダブル』は至上命題だ。近年のシティは、『マンチェスター・シティ』というブランドの強化を推し進めており、そんなマーケティング戦略にとってタイトル獲得は重要なファクターである。よって、ブランドの象徴であるトップチームの停滞は、決して許されるものではない。

 ここ数年で急激に改革を推し進めているシティ。その『大変革・第1章』は、アブダビ資本の投入によるスター選手の乱獲から始まった。ロビーニョ(現ACミラン)やカルロス・テベス、エマニュエル・アデバヨール(現トッテナム・ホットスパー)、セルヒオ・アグエロらスター選手を次々と獲得。その大型補強により昨季は、ついに44年ぶりのプレミアリーグ制覇を成し遂げた。そして今季、シティは『第2章』に移行しようとしている。それが、ブランド力を生かした新しいマーケティング戦略だ。

 現在、プレミアのビッグクラブは、こぞって我がチームのブランド力を駆使し、世界へ進出しようと躍起になっている。チェルシーはシンガポールにアジア支部を置き、これまでマンUの独壇場だった巨大なアジアマーケットに殴り込みをかけた。ビッグクラブ同士の争いが、アジアのマーケットで幕を開けつつあるのだ。その流れに伴い、シティもアジアでのマーケティング戦略を本格的にスタート。フロントには国際経験の豊かな日本人を起用したとの情報もある。

 よって近年のプレミアでは、クラブのトップであるCEO(最高経営責任者)にマーケティング戦略の長けた敏腕経営者をヘッドハンティングする動きが活発だ。今季、シティはダービー・カウンティのCEOを務めていたトム・グリックを営業部門のトップに抜擢。さらに元バルセロナCEOのフェラン・ソリアーノを、新CEOとして引き抜くことに成功した。ソリアーノという人物は、航空会社『スパンエア』の会長職も歴任した敏腕スペイン人経営者である。

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